第598話
何故かキリーエの襲来まであったが、無事に料理を作る事ができた。
獣王様にも好評で、ただ肉を食べるだけじゃなくて野菜も一緒に食べれるとケバブを喜んでいた。
野菜を美味しく食べれる事に喜ぶ虎族の獣人族‥
健康は大事だよね。
ソーセージもパリッとした食感が良かったようで、大人気だった。
パンに挟んだりそのまま食べたりと好評で、是非大量に作って欲しいとの事だったので、俺と城の調理人の皆さんで大量に作った。
城の調理人の方たちが作ったソーセージは城のみんなで食べていたが、俺の作ったソーセージは作ったそばからミミウに食べられた‥
俺はそんなに食べたわけじゃないのに、しばらくはソーセージがいらないと思うくらいには作った。
キリーエはケバブとソーセージを食べたら商品化するためにすぐに城を出て行った。
打ち合わせで来たはずなのに、よかったのだろうか‥？
あとでエッケンさんにあやまっておこう‥
しかし今回はこんな事もあろうかと、撹拌用のゴーレムを『スペース』に入れてきたのだ。
これで撹拌については俺がやらなくても‥あれ？
今回は撹拌するものがないのでは‥？
とりあえず悔しいので、ケバブにタルタルソースを入れる事にして、撹拌ゴーレムにはタルタルソースを作ってもらった。
他の作業は今回も全部手作業でしたけどね‥
「マルコイよ。お主は料理の才能もあるのか。これもスキルによるものなのか？」
スキル【異世界の知識】で調べた料理だから、スキルと言えばスキルなんだよな。
「そうですね、スキルの恩恵と言ったところです。」
「そうか。素晴らしいな。特にこのケバブと言ったか？この料理のソースが素晴らしい。これは最近よく聞くタルタルと言うものなのだろう。」
うぐっ‥
撹拌ゴーレムを使うために無理矢理付け足したとは言いづらい‥
「マルコイよ。このタルタルだが、ホット商会の秘伝のソースやも知れぬが、もしよかったら城の料理人に伝えてはもらえぬだろうか？」
秘伝でも何でもございません。
「別に構いませんよ。」
「誠かっ！それはよかった！これでタルタルを毎日でも食する事ができる。本当に助かった。お礼としてまた珍しいスキルが準備できれば、すぐに伝えるから楽しみにしておくが良い。」
自分で作っときながらなんだが、この国もタルタルの餌食になってしまうのだろうか‥
少し心配になってしまう。
「ありがとうございます。」
あれ？
俺の献上したミスリルのダマスカス剣と、タルタルソースの作り方の価値が同じじゃないだろうか‥？
俺はなにか釈然としないまま、ミミウのソーセージを作り続けるのだった。
獣人国に戻り、数日が経った。
とりあえずバタバタしていたが、落ち着いてきたのでギルドに顔を出す。
帰ってきてすぐにギルドに顔を出したのだが、イザベラさんが留守だったため、日を改める事にしたのだ。
本当はみんなで行きたかったのだが、みんな予定があるようで1人で行く事にした。
アキーエは用事があると言っていたし、ミミウは市場の探索。
キリーエは商談で、アレカンドロとリルはバラックスさんが来るので待つんだそうだ。
とりあえずそのメンバーでバラックスさんと会うのは危険な匂いしかしないので、すぐに出かける事にした。
本当はイザベラさんと1人で会うのは不安でしょうがないのだが仕方ない。
ギルドに到着すると中は相変わらず活気があった。
朝の忙しい時間を避けてきたつもりだったが、結構人がいるようだ。
カウンターを見ると若い冒険者と話しているイザベラさんを発見した。
イザベラさんは俺を見つけると、すぐに別の職員に冒険者の対応を代わってもらい、すぐにこちらに駆け寄ってきた。
久しぶりに見るが、相変わらず迫力がある。
あれ？
こっちに向かってくるスピードがおかしくないか‥？
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