第40話

翌日、獣人国に出発するために準備をしているとギルドからの呼び出しがあった。


出発の準備は別にそこまで急ぐ必要もなかった為、呼び出しに応じてギルドに寄る事にした。


「マルコイ呼び出ししてすまんな。」


受付からバーントさんがやって来る。

相変わらずのゴリマッチョだ。


「何か失礼な事を考えてるな。」


「そんな事はない。要件はなんだ?」


「いや、お前達が獣人国に行くって言ってたから、出来れば護衛依頼も兼ねてもらえなかいと思っての相談なんだ。」


護衛依頼?今まで受けた事なかったな。模倣スキルの件もあったから、なるべく避けてた事もあったし。


「護衛依頼は受けた事がないから、ギルドからの紹介のような大事な護衛は無理だぞ。」


するとバーントがすすっと寄って来る‥

寄ってきた分離れる‥


「なんでだよっ!」


「いや、ゴリマッチョがうつりそうで‥」


「うつらないよっ!おじさんの筋肉は病気じゃないよっ!」


いや、うつりそうだ‥


「いや、そうじゃなくてだな。実は依頼主が俺の友人の子供でな。商人として独り立ちしたんだが、今回が最初の仕入れになるんだよ。それで獣人国まで行くんだが、変な冒険者に依頼受けられるのも困るんだ。だからお前達が獣人国に行くんなら、護衛して一緒に連れて行ってもらえないかと思ってよ。」


「ん?そういった理由なら受けない事もないが、ギルド職員がそんな事はしていいのか?」


「本来は指名依頼って形になるが、今回は依頼主はお前達の事を知らないからな。ギルド職員の依頼推薦ってとこだ。」


アキーエとミミウを見る。


「別にいいんじゃない?どうせ獣人国に行くんだし、今後の事を考えると商人と懇意になるのも悪くないと思うけど。」


そうだな。バーントのおっさんの紹介なら変な人じゃないだろうし、今後の事を考えると信頼できるかもしれない商人と知り合いになるのは悪くないだろう。


「わかった。その依頼受けるよ。しかし行きだけの護衛になるけどいいのか?」


「助かった。帰りは別の冒険者に頼む事になるが、その時に相手が問題なさそうか確認してくれると助かる。それと本人が今日来てるから会ってもらっていいか?」


「別に構わないよ。」


はっ!バーントのおっさんの知り合いってことはゴリマッチョかもしれない‥

し、しまった‥会ってから考えた方がよかった‥

獣人国まで長い道のりでゴリマッチョとずっと一緒なんて考えただけで暑苦しい‥


「こっちだキリーエ。この3人が最速でCランクまで上がった新進気鋭の冒険者達だ。」


バーントから連れてこられたのは‥

薄い青色の髪の毛を短めのショートカットにしている、どこからどう見ても女の子だった。

少し垂れ気味の目ではあるが、右目の下にある黒子が少し大人っぽく見せている。

歳は15歳前後くらいだろうか?


「どもども紹介に預かったキリーエです!ウチも獣人国で香辛料とか仕入れに行く予定やったんよ。でも初めて行くから、できれば信頼できそうな人がよかったんだ。だからバーントのおっちゃんにお願いしてて。よろしくお願いしますわ。」


うん。なんか商魂逞しそうな感じだな‥

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