第238話

俺は慌ててアレカンドロを見る。

アレカンドロはフルフェイスの兜を外してもしゃもしゃと団子を食べている。

それはいいのだが、その食べている顔が物凄く綺麗な顔をしている‥

髪は薄茶色で邪魔にならないようになのか、頭の上で結んでお団子みたいになっている。

歳は見た感じ25.6歳くらいじゃないだろうか?


そして俺の間違いじゃないならどう見ても女性に見える‥

いや、モラさんの件もある。

綺麗な男性かもしれない‥


「お、おいアレカンドロ。お、おまえそんな顔してたんだな。」


「おお!そう言えばマルコイ殿の前で兜を外すのは初めてでしたな。申し訳ない。」


やっぱりアレカンドロだった。

突然すり替わったとかではないみたいだ‥


「アレカンドロさん。つかぬ事を聞きますが、アレカンドロさんは男性ですよね?」


するとアレカンドロはこちらを見て笑い出す。

よかった。


「はっはっは!マルコイ殿も冗談がお好きだ!」


よかった。

やっぱり男性なんだな。


「確かに殆どの輩に色気がないとかデカすぎだとか色々言われますが、生物上は女性になっております!」


おい!

女性なんかい!


相変わらず声はデカい。

たが甲高い声も女性というならば納得できる事だ‥


「冗談もなにも、フルフェイスにフルアーマーだったら性別の区別つかないよ‥」


「おお!そうでありましたな。はっはっは!」


笑いながら豪快に団子を頬張っている。

顔さえなければ男としか思えない。


「お、女に負けたのか‥」


ほら、ノギスが女性に負けたってわかって落ち込んでるじゃないか。


「大丈夫だノギス。アキーエもミミウもお前より強いから。」


「兄貴!それ慰めになってないっす!」


おお!

そうなのか!


すると後ろで何かを落とす音が聞こえた。

振り向くとアキーエが団子がのった皿を落としたようだ。

落とした当人はアレカンドロを凝視している。


「マルコイ!あの人だれ?アレカンドロっぽい人がいるんだけど別人よね!」


「いや、俺もさっきわかったんだが、あれはアレカンドロらしい。」


「そ、そんな‥そんな角度で女性が近づいてくるとは‥」


アキーエが自分の世界に入って何か呟いてる‥


「アレカンドロ。途中で中身入れ替わったりしてないんだよな‥だとしたら傭兵団ってのも本当なんだよな?」


「はは。確かに女性で傭兵団という過酷な職業についている者は少ないですな。ですが自分は父が傭兵団にいましたから、父に憧れて傭兵団に入ったといったところです。自分も自分の父も牛族で身体はデカかったのですが、自分は舐められないようにフルフェイスとフルアーマーを装備しております。それに殆どの男は自分より小さいですから、舐めた事言う奴はぶっ飛ばしておりました。まあそのおかげで色気がないとかいろいろ言われましたがな。」


色気うんぬんはフルアーマーを着ているのでよくわからないが、相当苦労はしたんだろうな。

よく見ると綺麗な顔にいくつも傷があるのがわかる。


しかし勝手に髭のおっさんを想像してしまってたぜ。


う〜ん。

しかし中身を知ってしまうと、どう扱ったいいのか困るな‥

今まで通り訪問して来たヤツを相手するのをほっといていいのだろうか?


「おい!マルコイってのはいるかっ!」


外にまた模擬戦挑みにきたやつがいるみたいだな。

アレカンドロを見ると‥

すでにフルフェイスの兜を被り斧を担いで外に出て行くところだった。


え?

さっきまで団子食ってたけど‥


「なんだ貴様!マルコイ殿に挑みにきた輩か?それにしては態度がなっとらん!マルコイ殿の前に自分が相手してやる!そこになおれ!教育してやるわ!」


うん。

本人は楽しそうだから、このままでいいかな‥?

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