第8話
ギルドに戻ると、カウンターにナーシャさんとガチムチマスターがいた。
「ガチ‥、ギバスさんちょっとお願いがあるんですけど。」
「ん?なんだマルコイ。依頼を受けに来たんじゃないのか?」
「ギバスさんは元Aランク冒険者だったんなら、高スキルを持ってますよね?俺やアキーエもこれから高ランク冒険者を目指すつもりです。だから今後の目標としてギバスさんのスキルを見せてもらえませんか?」
「ふむ、それは構わんが俺のスキルは剣技系のスキルだぞ。お前達に参考になるとは思えんが‥」
「だったとしても、自分達もそこまで行くんだって目標にしたいんですよ!」
「わかった、そこまで言うなら仕方ない。」
(よしっ!ありがたい!落とし穴に嵌めるのは6割嵌めくらいに減らします。)
ギバスが出したギルドカードを見て内容を確認する。
ギバス
ランク外
スキル【剣王Lv.7】
(スキルは確認できた。あとは言葉を誘導するだけだ!)
「ギバスさんのスキル【剣王】は何のスキルが系統進化したものなんですか?」
「ん?剣術スキルの中では有名だと思っていたが知らんのか?【剣王】は【剣士】から【剣鬼】そして【剣王】に系統進化する。」
(ピコーンッ)
『模倣スキルを発現しました。スキル【剣士】を模倣しました』
「かふっ‥」
マルコイから残念吐息が漏れる。
「おい、マルコイ大丈夫か?何か血でも吐きそうな勢いだが。」
「ギバスさん大丈夫です。マルコイは持病で時々残念な人になるんです。」
アキーエがよくわからないフォローをしてくれる。
「あ、ありがとうございました。これからの冒険者人生で目標にしていきたいと思います。」
「おう、それならよかった。あまり無理はするなよ。」
ガチムチマスターとナーシャさんに挨拶をしてギルドを後にする。
「マルコイ大丈夫?」
心配した声でアキーエが声をかけてくれる。
「落ち込んだけど、大丈夫だ。これでレベルは1だが剣士のスキルも手に入ったしな。それに俺のスキルにもレベルがあるスキルがあるだろ?」
「そっか!【模倣】はスキルレベルがあるんだよね。でもレベルが上がったらどうなるの?」
「それは俺にもわからないよ。でもレベル1とはいえ制限なしでスキルを得られるトンデモスキルなんだ。レベルが上がったら楽しみが増えそうだろ?」
「確かにそうよね。私も楽しみだわ。」
アキーエは嬉しそうな顔で、まるで自分の事のように言ってくれる。
アキーエのおかげで何度救われたのか、もう数え切れないな。
2人で共に強くなる。俺はそう強く誓った。
模倣スキルを発現して2ヶ月がたった。
村の近くにいるモンスターは危なげなく倒せるようになってきた。
「アキーエ左からスライム2匹、正面からゴブリンだ。スライムを火球で牽制頼む。その間にゴブリンを始末する。」
「わかったわ!」
すぐに火球を放つために杖に魔力を送るアキーエ。
それを確認して正面から迫るゴブリンに意識を向ける。緑色の肌をした子供程の身長をしたモンスターだ。木の棒に尖った石を括り付けた槍を構えている。
ゴブリンに向かい左手をかざす。
「火球!」
5センチ程の火の玉がゴブリンの顔に向かい飛んでいく。
「ギギッ!」
火の玉を槍で落とそうと振り回しているゴブリンの横に回り込み、膝の裏を剣で斬りつける。
痛みで足に力が入らないのか、片膝をつくゴブリン。マルコイは顔前に来たゴブリンの首に向かい剣を振り下ろす。
ゴブリンが動かなくなったのを確認し、アキーエの方に向かう。
スライム2匹は熱に溶かされ動かなくなっていた。
「牽制の火球で倒せたの?」
「上手く2匹共巻き込むような位置どりができたからよかったわ。」
「スライム5匹とゴブリン3匹。これで依頼終了だね。討伐証明をとったら村に戻ろう。」
討伐証明を剥ぎ取り、今後について話しながらギルドに向かった。
「以前から言ってたけど、そろそろ1度王都にむかってみようと思うんだ。王都だと冒険者も多いから、模倣スキルでスキルを覚える機会もあると思うし。アキーエはどう思う?」
「そうね、この周辺のモンスターは問題なく討伐できるようになったし頃合いじゃないかしら?」
アキーエも王都行きについては同じように思ってくれていたので良かったが、マルコイは気がかりがあったのでそれについても意見を求める。
「でも今より強いモンスターと戦う前にもう1人は仲間が欲しいんだよね。俺が前衛でアキーエが後衛。敵が複数出た時に、もう少し安定して倒せるように盾役か中距離攻撃ができる人がいると思うんだけど。」
「い、いいけど。で、でも希望は男女どっちなの?」
「俺は性別は別にどっちでもいいかなと思ってるけど、あまりむやみに増やすつもりはないよ。俺のスキルも特殊だしさ。だから信頼できる人がいたらってとこかな。」
「わ、わたしは別にいないでもいいわよ。」
(新しく仲間が増える事が不安に感じるのかな?)
「大丈夫だよ。どんな仲間ができようとも俺の1番の相方はアキーエなんだから。」
「そ、そ、そ、そんな事をわかってるわよ。この変態っ!」
そのまま耳まで真っ赤にしてアキーエは、ギルドに向かって走っていった。
そしてアキーエの顔が真っ赤になったので、反射的にお腹をガードした俺もアキーエを追ってギルドに向かうのだった。
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