第923話
むむむ‥
耐性が高い人に魔法が効きにくいのはわかるが、親和性って‥
精霊と仲がいいって事なのか?
ミミウは誰が見ても精霊と仲がいいのはわかる。
今もノームと一緒に踊っている。
ノームと手を繋いで、円になって土の上位精霊を囲んで踊っている。
何の儀式だそれは‥?
この通りミミウが精霊と仲がいいのはわかるけどアキーエさんは‥?
しかもアキーエさんの場合は精霊がびびってる感じだったんですが‥
「えっと、四大元素?の魔法を使うとその現象を発現させた時に精霊が生まれるそうなんですぅ。通常は存在続ける事も難しい弱い精霊で、時間が経てば消えていなくなるそうなんですぅ。」
ふむふむ。
「でもミミウや、アキーエさん、それにアレカンドロさんやリルさんたちが魔法を使った後に現れる精霊は存在する意思が強くて、消えないそうですぅ。」
なぬ?
「それで時間が経てば存在の強い精霊だから、自我を持って上位精霊になるみたいなんですけど、やっぱり自分を生んだ人の事は覚えてるみたいですぅ。」
ほ、ほほう‥
それはそれは‥
アキーエお母さんですね‥
「あのエルフさんが呼んだ火の上位精霊さんもアキーエさんの魔法から生まれたみたいですぅ。」
だから攻撃してこなかったのか‥
単純にアキーエさんが怖いからと思ってた。
アキーエさん。
何故こっちに魔法を放とうとしてるんですか?
やめてください、それを喰らったら僕が精霊になってしまいそうです。
「な、なぜ言う通りに動かない!?なぜだっ!」
う〜ん‥
そんな事情があるなんて、エルフは知らないだろうしな‥
「そ、そんな馬鹿な!こ、これでは精霊数が増えエルフの力が増したと言うのに意味がないではないかっ!」
えっ?
今何て言った?
アキーエたちが魔法を使った後に、消えるはずの精霊が何故か残ってしまう。
それにより精霊の数が徐々にだが増えていく。
そしてエルフが引き篭もりをやめて、何を勘違いしたのか戦争を始めたのは精霊の数が増えたから‥
‥‥‥うん。
気のせいだ、何の因果関係もない。
エルフが力をつけたのは、きっとすっごく頑張ったからだ。
引き篭もりしてる間に、他人がびっくりするくらい努力したんだ。
きっと‥‥
「よし、みんな。何となくだが、世界の平和のためにはエルフ族を止めないといけない気がしてきた。俺たちには全く関係のない事だが、この大陸に住む者としては世界の滅びを防がないといけない。たがらエルフ族を全力で止めるぞ!」
関係はないが、ここまで関わってしまったから仕方ないんだ。
「絶対そんな事思わないし、言わないはずだから何かあったのね。まあいいわ。これが終わったら教えてくれるのよね?」
「あ、ああ。」
そうだな。
別に例えそうだったとしてもアキーエにもアキーエの魔法には何の罪もない。
それに自粛する必要もないし、これからもガンガン魔法を使っていいと思う。
ただ、何て言うか迷うな‥
アキーエの事だから、エルフを止めるって言い出すに決まってるからな。
先に俺が決めた事にしておけば問題ないだろ。
「な、何が止めるだ!ふざけるなっ!お前たち人族が我らエルフの大業を止めることなど出来るはずがないだろう!俺がそのふざけた思考を止めてやる。まさか人族相手に切り札を使う事になるとは思わなかったが、その目に焼き付けるがいい!」
段ボールは動かない精霊を無視して、新たな精霊を召喚する。
「『我と共にある精霊よ!我が力となり槍となれ!』」
段ボールの背後に火の精霊が現れる。
上位精霊というわけじゃなさそうだが‥
上位精霊とは違った感じはあるが、油断できる相手ではなさそうだな‥
「思い知るがいい!選ばれたエルフが精霊の力を全て纏う強さを!『精霊纏』!」
段ボールの背後にいた精霊の姿が掻き消える。
そして段ボールの身体から炎が噴き出す。
なんだそれ!?
アレカンドロのスキルとは違い、鎧と言うよりも精霊が持っていた炎をそのまま身体に纏ってるって感じだな。
俺はスキル【技能眼】を発動する。
ダンボール・レイノネン
スキル【精霊魔法】
精霊種に近い種族が精霊を召喚してその力を行使する事ができる。
貸与スキル【精霊纏】
貸与されているスキル。
スキル【加重操作】
自身にかかる重力を操作変更する事ができる。
なんだ?
スキル【精霊纏】に関しては情報が見れない。
しかもスキルの前に貸与の文字がある。
これは誰から借りているスキルという事なのか?
その他のスキルに関しては詳細まで見る事ができるから【技能眼】がおかしいわけじゃなさそうだ‥
「はっはぁ!これで今までのようにはいかんぞ!精霊と一体となった俺の強さを思い知るがいい!」
段ボールが手を振るうとそこから火炎が噴き出し、こちらに向かってきた。
タイムラグなしで精霊術を使っている。
言うだけの事はありそうだ。
しかし‥‥
そうか、段ボールの名前って段ボール・カネンブツじゃなくて、ダンボール・レイノネンって名前だったな‥
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