第332話
相手の事が多少わかったところで色々と準備をする必要があった。
サントバルはおそらく正面から向かってくるタイプじゃない。
もしかしたら今日にでも別の襲撃者を寄越してくるかもしれない。
それはそれで別に構わないのだが、待ち受ける側としてはある程度準備をしたい。
しかし準備しようにも今拠点としているところは『アウローラ』から紹介してもらった宿のため変にいじるわけもいかないし、ましてや殺戮人形を置くわけにもいかない。
とりあえず皆んなを集めてどこかに移動する旨を話す事にした。
「とりあえず相手の顔を見る事はできた。でも印象としては正面から乗り込んでくるタイプじゃなかった。うちとしては動くしかない状況を作ると共に相手がまた襲撃者を寄越してきた時のために備えないといけない。だからとりあえずこの宿は引き払って一軒家を借りようと思う。」
「一軒家って言っても賃貸でしょ?それなら魔改造するわけにもいかないんじゃない?」
うん。
アキーエ魔改造は人聞きが悪いぞ。
「でも宿屋だといつ来るかわからないのに貸切を続けるわけにはいかないし、最悪他に迷惑がかかる。賃貸なら多少壊したりいじったりしても出る時に元の状態に戻したらいいだろ。そっちの方が安価だと思うしな。」
「確かにそうだけど‥また夜な夜な徘徊する人形とか作るんでしょ?」
お、俺の自信作である殺戮人形を認知症の高齢者のように言うんじゃない。
「確かにそれも設置するけど、今度のは待機型にするから大丈夫だ。他にもいくつか作るつもりだけどな。」
今度は来るとわかってるからな。
獣人国にいた時よりも万全の状態にしてやる。
それと人形の待機場所はアキーエの部屋の前しておこう。
するとそれまで黙って聞いていたアレカンドロが口を開く。
「それなら皆さん自分のところに来て下さい。自分も父も『アウローラ』で活動していたのでその時に使っていた持ち家があります!」
はい?
それじゃあ今まで持ち家があったのにアレカンドロは宿に泊まってたってこと?
「もしかしてアレカンドロは俺らが宿に泊まってるから付き合って泊まってくれていたのか?てっきり『アウローラ』の拠点に寝泊まりしてるって言ってたから家はないと思ってたよ。」
「はい!基本拠点に寝泊まりしてます!なので家に帰るのも一年に数回換気とか掃除とかのためだけに帰ってました!なのでマルコイ殿に魔改造してもらって大丈夫です!」
アレカンドロ‥
お前まで魔改造いうな‥
「わかった。それじゃあお言葉に甘えてアレカンドロの家を使わせてもらおう。もちろん問題が解決したら前よりいい家にして返すからな。」
「そうやね。多分マルコイさんに丸投げしたら要塞みたいになると思うから、終わった後には責任持って新築にしたるよ。」
キ、キリーエまで‥
皆んなしてそこまで言うなら張り切って魔改造する所存であります!
「ありがとうございます!しかし新築にはしなくて大丈夫です!」
「ん?何でた?そのままにしておくわけにもいかないだろ?もしかしたら壊れるところもでるかもしれないんだし。」
「いえ、家はもう戻る事はないので今回の件がなくても売りに出すつもりでした!」
「お、おう。そうか。それならわかった。でもせっかく売りに出すなら壊れた所なんかは修理するからな。」
「わかりました!ありがとうございます!」
アレカンドロ変わらず声がデカいけど、何か決意した目をしてるな。
今度話でも聞いてみるか。
「マルコイ大丈夫よ気にしなくて。そのうちアレカンドロから話があると思うから待っててあげて。」
「ん?そうか。アキーエは何か知ってるのか?」
「知ってるけどわたしからは言わないから本人から聞いてね。」
「わ、わかった。」
何か意味深な感じだな‥
まあ気長に待ってるとするか。
あとは防衛じゃなくてナイコビ商会を追い詰める状況を作っていく方法を考えるとするか。
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