第496話

(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【同期】を模倣しました』


スキル【同期】か。

スキルが使えない状況だと、あまり使えるスキルとは思えないけど、何かに‥


(ピコーンッ)


『スキル【同期】を確認しました。模倣スキル【二重化】【同期】【硬質化】を統合します。スキル【アバター】に統合しました。』



‥‥‥。


また随分いきなりですね。


スキル【アバター】?


スキル情報が頭に流れ込んでくる。


なるほど‥


また面白いスキルを得たものだ。



このスキルも戦闘スキルではないが‥

使い方次第では面白い事ができそうだ。


スキル【アバター】

簡単に言うと、俺の意識と別の生き物の意識を同期する事ができる。


人型の種族なんかは、意識が複雑すぎて同期する事はできないようだが、モンスターや動物なんかには意識を同期して俺が動かす事ができるようだ。


俺が主人格として動かして、その間同期された生き物は眠りにつくような感じだな。


それと同期した俺の身体も意識がなくなる。

無防備な状態になるから、安全な場所で使う必要がある。


しかし同期した生き物であっても俺のスキルを使う事ができる。

これはスキルが魂に紐付けられてるからだとは思うが、俺が同期したスライムだとエンチャントが使えてSランクスライムになる事も可能かもしれない。


やばいなぁこれ。


ちょっと思いついたけど、俺がドラゴンに同期して神聖国に殴り込んだら、神聖国廃墟にする事ができるんじゃね?


勇者問題が拗れたら、最終的にはこれでいこう。





「マルコイさん。どうかしたっすか?」


「いや、なんでもないよ。ありがとう見せてくれて。俺はとても嬉しい!だからラケッツさんに渡した魔道具を更に使いやすくしようと思う!」


「えっ‥」


なんでそんなにあからさまに嫌そうな顔をするかな。


「大丈夫。今度は倒れた時は任意で爆発する様にするから。あと爆発の衝撃も吸収できるようにすると約束しよう。」


「それ本気でお願いするっす。あと俺みたいな奴に魔道具いただけるのは、すごく嬉しいんすけど、爆発から離れたりしないっすか‥?」


それは俺の自己同一性を無くせといっているのかね?


「それは‥‥おいおい考えていくとするよ。」


俺はそう言ってラケッツの元を後にした。


「頼みますよマルコイさんっ!」


ラケッツさんの悲痛な叫びを背中に受けながら‥






そんな事があり、俺は今スライムになっている。


ちなみに俺の身体は遺跡の最下層に部屋を作って、そこに置いている。


スキル【アバター】を色々試してみたけど、条件がいくつかあり、同期する時は同期する相手に直接触れている必要がある。

同期は自分の意思で切る事ができる。

そして同期中は自分の身体の事がわからない。

ってところかな。


今回は自分の身体を遺跡の最下層に置いておく必要があったので、同期するのは手近なスライムにする事にした。


スライムだと遺跡の中にいても不自然じゃないしね。


これで臨場感満載で、遺跡遊具場で遊んでいる人たちを見る事ができる。



さっそく勇者たちが俺が作ったモンスター、アフロ製造機1号と戦っている。


このモンスターの人工核には、相手を挟んで髪の毛だけアフロにさせるようにしている。


そして勇者をアフロにしたら恨まれそうなので、黒髪、黒目については挟まないようにしている。


そんな事を人工核に登録したもんだから、戦闘力はまったくの皆無だ。


それだと攻撃されて近寄れないから頭を挟めないと思い床下にゴムのローラーをつけてみた。


ゴムの上は土だから、まるで地面が動いているように思えるだろう。


さっそく神聖国の騎士がかかった。

もがき苦しんでいるようだけど、大丈夫!

頭がアフロってしまうだけだから。



う〜ん。

イライラしてるね。

やばいな。

めちゃくちゃ楽しい!

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