第605話
侵入者を察知する魔道具か‥
結構な数を作ったので、よく覚えていなかったりするんだなコレが‥
「諜報員の方はかなりの手練れだったようですが、御使様の魔道具を使う事でどうにかなったようです。」
俺がドラゴンに移っていた時にチンピラ隊が魔道具を使ってたけどあれは俺が潰したもんな‥
あれ以外にもいくつか残ってたんだな。
「他の魔道具は全てお借りした国にお返ししましたが、御使様の魔道具については、御使様がまた神聖国にいらっしゃった時にお返ししようと思ってます。ですが、その間はこの国を護る事に使わさせてもらっています。」
そ、それは全然構いませんけど‥
それに物凄く手抜きで作った魔道具なので、それで捉える事が出来たのが驚きだ。
あと返却については考えなくていいと思います。
多分この国にドラゴンが来る事はもうないと思いますから‥
「しかし魔道具を使ったとはいえ、よく捉えて味方にする事が出来ましたね。」
「それは偉大なるタルタル神様のおかげです。タルタル神様のお作りになられたタルタルを与える事ですぐに改宗されました。」
な、なんだそれ‥
要は美味いもん食ったら仲間になったってことか?
い、いいのかそれで‥
帝国兵の気概とかないんだろうか‥
「その信者に話を伺ったところ、帝国に見知らぬ数
人の男女が来てから皇帝が変わられたとか。そして今は戦力の調整をしているようで、終わり次第おそらく侵攻してくるようですね。」
「侵攻してくるようですねっていいんですか?それに対する準備とかしているんですか?他の国に援軍を要請したりとかないんですか?」
あまりに普通の口調で言っているグルンデルさんに、こちらが焦ってしまう。
「そうですね‥それも考えはしましたが、神聖国は随分他の国から恨みを買っていますから。神聖国のために援軍を送ってくれるような国はないと思います。何かあった時の為に自国の戦力を見直すくらいでしょう。」
それは‥
違うとは言い切れない。
聖王が変わったといっても、神聖国が他国に対してやってきた事が過去が変わるわけではない。
「それでも獣人国なんかは手助けしてくれるかもしれません。」
「そうなんですか?獣人国に一番嫌われてると思っていましたが‥」
確かに今までの事を考えるとそう思うけど‥
「今の獣王様は義理堅い人です。過去の事をとやかくいう人じゃありませんから。」
「そうなんですか‥それはありがたい事です。でも獣人国は無理かもしれません。」
「何故ですか?きっと兵を出してくれると思いますよ?」
獣王様はグルンデルさんに対して好意的だった。
だからきっと困っているなら助けようと思うはずだ‥
「信者になっていただいた諜報員の方に聞いたんですが、帝国はトールルズにも兵を向かわせるようです。そうなると隣国の獣王国もそちらに兵を回す必要が出てくるでしょうか 。」
「え?ですがトールルズと帝国では距離的に難しいでしょう?」
帝国兵が他の国にバレずに獣人国まで向かう事は難しいだろう。
それこそ空を経由てくるか、転移などの魔法で移動するかだ。
「はい。私も不可能だと思います。ですがその可能性がわずかでもあるのであれば、自国から兵をだす事は難しくなるでしょう。」
それそうだが‥
「それじゃあどうするんですか?」
「神聖国にある戦力で戦います。」
「しかしそれでは‥」
「大丈夫です。私は本当に困った時は、きっとタルタル神様やその御使様が守ってくれるものと信じておりますので。」
なんですと!?
最後は神頼みってやつですか‥
そ、その予定は全くしておりませんでした‥
それに両方俺何で流石にどっちかしか無理です‥
いや、そんな事じゃなくて。
ドラゴンはまたお願いできると思うけど、タルタル神様は無理だと思います。
神の御力など出せませんから!
「なのでイコル君が心配してるようなことにらならないと思っています。」
こ、これは困ったな‥
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