第342話

「今回の件とは全然別件だし、マルコイさんには関係のない事なんだけどな。」


「ん?ロンギルの話じゃないのか?」


「違うけど、少し気になってな。帝国が勇者の件で神聖国と揉めているのは知ってるか?」


そういえばバーントのおっさんがそんな事を言ってた気がするな。

俺には関係ないと思いはしたが、恵たちの事だから少しだけ気になりはした。


「ああ。知っているがそれが何か?」


「帝国が神聖国を相手どるのは外交上の問題だし、帝国が神聖国に少しちょっかいを出して終わるだろうって思っていたがどうやら違ったらしいぞ。」


「どういう事だ?」


「何と帝国が神聖国の兵を撃退して神聖国の一部を占領したらしい。神聖国の兵も、占領した街の人間も皆殺しにしてな。まあ噂だから本当なのかわからないけどな。」


なんだと?

バーントの話では帝国は勇者を保有している神聖国には強く出れないから、戦争を仕掛けたとしてもポーズだろうって言ってたよな。


「帝国が力を持っていたのはもうかなり前の話だ。とは言っても神聖国と対等に戦える程度の戦力はある。しかしあくまで対等にだ。だから神聖国の兵を皆殺しってのも無理な話だ。余程の戦力差がないと難しいからな。多分噂に尾ひれがついたんだと思うがな。でも占領したって噂はどうやら本当のようだ。こっちに流れてきた商人が口を揃えて言っているからな。」


「恵たちは‥勇者たちはどうなってるんだ?」


「勇者はまだ参戦していないと思う。勇者達は今は魔道具探しに精を出しているはずだからな?しかし今頃緊急召集されているんじゃないかな。」


神聖国も至らない事をしているからな。

自業自得ではあるが‥


勇者たちの事は気にはなる。

しかしあくまでアイツらが選ぶ道だ。

まあ甘い世界でぬくぬく育ってきたアイツらの事だ。

自分たちのいた世界に戻るために戦争に参加して苦しむ事になるんだろうな。


俺が考えたところでどうしようもない。

今は自分の仲間を守る事が最優先だ。


「まああくまで噂程度の情報だ。ギターをくれたからサービスと思っていてくれ。それじゃあな。」


俺はスキャンに手を挙げて返事をする。


何か胸に棘が刺さったような感じがする。

しかしその痛みを今は気にするべきではない。

俺は襲撃者に対する準備をするために少し痛む気持ちを切り替えた。







さてさて、襲撃者がそろそろ来そうな感じなんだけど、本格的に家を罠屋敷に魔改造したいと思う。

いや、自分で魔改造言ってるけどそこまで大した事をするつもりはない。


もちろん布人形などは配置する。

追加装備として触れたりすると悲鳴をあげるようにした。


これについてはアルホックさんに協力してもらい、悲鳴の音楽箱を作ってもらった。


触ると魔力が流れて悲鳴をあげる音楽箱で、もはや音楽箱かどうかは怪しいが襲撃者がびびる事は間違いない。


だってアキーエが夜中なのに俺の部屋に乗り込んでくるくらいびっくりしてたもん。


夜中の逃亡劇は大変でした。


後はカラクリ扉を作ったし、新しく覚えた【時空魔法】を使って罠も仕掛けた。


ちなみに全ての罠に関しては昼と夜で切り替えられるようにした。

1つ1つ動かないようにしていく必要があるけど、昼も罠が作動してしまうと部屋から出れなくなってしまう。


夜は各部屋からトイレまでの道のりは罠を仕掛けないようにした。

そのため一度部屋決めをしたが、襲撃者が来るまでの間はみんな部屋を移動してもらった。


ちなみに家の罠に1番最初にかかったのは、布人形に驚いたアキーエを除いたらミミウさんでした。


トイレまでは罠は仕掛けてなかったけど、台所までは罠があるからな。


翌朝天井近くまで釣り上げられた状態で寝ているミミウを見た時は焦ったぞ。


しかしこれでこちらは準備万端だ。

さて後は襲撃者を待つばかりだ!


これ以上被害が出る前に早く来いっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る