第117話

「それで神よ!自分は何をしたらいいんでしょうか?」


近い近い。


「だから神じゃないって言ってるだろ!俺はマルコイでただの冒険者だ。」


筋肉は俺の手を握りしめようとしてくる。

もちろん避けますよ。

だってあんな筋肉ゴツゴツしてる手で握られたら俺の手壊れますもん。


「マルコイ様!私奴はロバットと申します!鍛治ギルドに所属はしておりますが、武具は作っておりません。主に生活に必要な道具を作っております。」


俺の手を握る事ができなかった手がワキワキしている。


そしてその手が懐にいきギルドカードを取り出した。


「スキルも【直感】であまり鍛治向きではないのですが、この【直感】に従って物作りをやって生計を立ててました。それで今回のマルコイ様の発案されるものは必ずつくるべきだと【直感】がいいよるんです。お酒の未来が、国の未来が変わると!」


何言ってんのこの人。

仮にお酒の未来変わっても国の未来は変わらんでしょ‥


(ピコーンッ)


『模倣スキルが発現しました。スキル【直感】を模倣しました』



あ、スキル模倣した。


暑苦しくてかなわないが、とりあえずスキル【異世界の知識】で調べた事を伝える。


エールを造る時に使用している酵母や発酵といった工程のこと。

それらエールなど醸造酒を蒸留する事でできる蒸留酒のこと。

特に蒸留酒についてはウィスキーやブランデーといった酒好きにはたまらない物になるからな。

しかし目的の果実酒については、目指しているのはホワイトリカーという蒸留酒になる。

ホワイトリカーは単式蒸留法ではなく、連続蒸留法で連続的に蒸留してアルコール度数を高めたモノに加水して作成するものだ。


これによりアルコール度がある程度高く、尚且つ大量のお酒を造る事ができる。


廃糖蜜を使用して風味や色がついていないお酒を造り、それに果実類をつける事で果実酒を造る事ができる。


これなら女性にも飲みやすい果実のお酒が出来上がり今まであまりお酒を嗜む事がなかった人もお酒をのむようになるだろう。


自分で好きな果物入れて果実のお酒造れるって最高じゃないか。


あれ?

確かにお酒の革命だし、国のお酒というか経済事情も変わってきそうな気がするぞ。

これってさっき模倣した【直感】のせいなのか?


というかキリーエが商人として世界を牛耳るような未来が見える気がする‥


「おお!マルコイ様はやはり神だ!必ず!必ず神の仰ったものを造り上げてみせます!」


うーむ‥

確かに造り方に迷ったとしても、最善をスキル【直感】で導き出して造ってしまいそうだな。


物作りのスキルを持っていないと聞いたが、未知なる物を作り上げるのは彼のようにスキル【直感】を持っている人なのだろうな。

もしかしてキリーエはそこまで考えて彼を連れてきたのだろうか。


人としての中身はどうかと思うけど‥


もし本気で銅像とか作らないように時々見学とかいったほうがかいいのかもしれない。

あんまり近寄りたくないけど‥


後日、ロバットは蒸留機を作り上げてウィスキーやホワイトリカーを使った果実酒がホット商会で提供されるようになる。


キリーエが世界を征服する日は近い‥


やだこわい。

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