第116話
「そうだな。アキーエの希望だから、女性が飲みやすいお酒とかどうだろうか?」
今お酒として飲まれているのはエールというお酒だ。
それ以外のお酒はないため、アルコール好きの一部の人しか飲んでいないのが現状だ。
しかしエールという飲み物があるのであれば酵母を使った発酵するといった手順は確立されているわけだ。
それならば発酵の手順は出来ているのだから、後は蒸留機を使用して蒸留酒を造る事はできる。
蒸留は、混合物を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮する操作するものだ。
蒸留機がどういったものかはスキル【異世界の知識】を調べればわかる。
【異世界の知識】さまさまだ。
しかしウィスキーなんて造ったところで喜ぶのは酒好きのドワーフくらいなものだろう。
女性が喜ぶようなお酒となると果実酒やリキュールといったところか。
あとはキリーエの人脈で廃糖蜜なんかを確保する必要がある。
しかし果実酒なんかを造るのは甲類の焼酎が必要になるから連続式蒸留機なんかが必要になってくるけど、その辺はキリーエに丸投げしたら商人根性で造り出しそうな気がする。
少し説明したところで、キリーエから待ったがでる。
「少し待っとって。今からデザートが出るから、その間に準備しておくから。」
何の準備かはわからないけど、キリーエの目が尋常じゃないくらいギラついていたので、素直に従うことにする。
キリーエがすぐに人を呼んで、何か話をしていると思ったら何人かが走って店を出て行った。
何か店中が慌ただしくなってるんですけど‥
なんかすいません。
デザートは最初に食べた気がするけど、最後に出てきた物も美味しかった。
薄いホットケーキを何枚も重ねて、その間に甘いソースや白いクリームみたいな物が挟まれている甘いメニューだった。
クリームは卵の白身と蜂蜜で作ったメレンゲみたいなもののようだった。
美味しい料理に舌鼓を打っていると、キリーエが1人の男性と戻ってきた。
キリーエより背が小さいがとても筋肉質のようだ。
近くまで来ると理由がわかった。
ドワーフ族の男性だったようだ。
「あなたが新しいお酒を造り出す事ができる神か?」
はい?
この筋肉はいきなり何を言ってるんだろう?
「そうこの人がこの世界のお酒を改革することができる酒の神、マルコイ神なんよ。」
すいません、キリーエさんが何を言っているのかわかりません。
「おお!マルコイ神様!どうかワシにその技法を教えてくれませんでしょうか?もし私どもが、そのお酒を造り出す事ができたなら神様を祀る銅像を作り街に飾らせていただきます!」
「ご遠慮させていただきます?」
そう返事をすると、筋肉はこの世の終わりのような顔をしている‥
「いやいや、銅像とかいりませんて!俺はお酒の造り方をお伝えしますけど、それを製造するのあなたになるんですから。丸投げするだけですよ?」
すると筋肉の顔に輝くような笑顔が戻った。
だれ得なん?
「そうですか!粉骨砕身頑張らさせていただきます!」
なんかまた濃い人がやってきたな‥
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