第452話
3日目の朝、俺たちパーティはアースンの街の入り口に来ていた。
今日旅に出ると聞いて、数名の人が見送りに来てくれていた。
そのうちの1人ガッスンさんは、ホットモールの実行委員になった。
今ではアースンの目玉となった、ホットモールを繁盛させるために日々忙しく駆け回っているそうだ。
しかしガッスンさんには今後俺の魔道具の土台となる物を量産してもらう必要があるので、早く後任を見つけて欲しい物である。
あとはオマールさんとタールさんが来ていた。
タールさんはタルタル教の教祖の妹ではあるが、常識人なので旅の途中で食べてくださいと差し入れを持って来てくれた。
「ありがとう。休憩の時にでも食べさせてもらうよ。」
「はい!タルタルソースを挟んだパンになります。結構作ったので、みんなで食べてくださいね。」
ん?
パンにタルタルソースのみですか?
何故かセイルズのタルタル丼を思い出したんですけど‥?
タールさん‥
オマールさんはポーションを持って来てくれた。
「マルコイさん!キリーエ副会長の事、よろしく頼みますね!ああ!私なんかに言われなくてもわかってらっしゃいますよね!すみませんすみません。」
この人は俺の事を未だにキリーエの護衛と思ってるんだろうな‥
もう言い出せないので、このまま黙っておこう。
「それじゃあ皆さん、ホットモールを宜しくお願いします。そのうちキリーエと見に来たいと思ってます。それまでもっと素晴らしい施設にしといてくださいね。」
「マルコイさんが言うた通り、うちも時々見に来ます。運営に関しては、皆さんもお会いしたうちが信頼できる人に任せてます。考え方は柔軟やし、うちがホット商会を作った時から動いてもろてた人やから心配はないですよ。でも1人じゃ無理やから、皆さんの力が必要になります。皆さん一人一人がホット商会を、ホットモールをがっつり儲けさせてください。よろしく頼みます。」
そうだな。
アースンがセイルズや他の街に負けないようにするには、領主任せじゃなくて皆んなでホットモールを盛り上げてもらわないと。
街も栄えて、ホットモールも栄えて、ホット商会も儲けてくれるだろう。
キリーエに俺の魔道具の費用を出してもらってる身分としては、是非頑張ってほしいものだ。
俺たちはみんなに別れを告げて、アースンを旅立った。
目的地は神聖国と隣接する王国の街だ。
そこで傭兵団と落ち合う約束をしている。
まあ今回は作戦らしい作戦はないけど、念の為に戦力の確認や魔道具の動作具合を知りたいのもあるしな。
それにスネタさんやライリーには新しい魔道具を渡さないといけないし。
それじゃあ楽しい楽しい実験のために、新しい街に行くとしますかね。
神聖国に隣接する街に着いた。
街の名前はセツリンで特に大きくもなく、普通の街並みであった。
俺たちは後から来る傭兵団を待つために、ここで宿をとった。
次の日の夕方頃に、傭兵団も到着した。
クワイスにメンセン、スネタさんにエルエス兄さん、それにスキャンやライリーなど声をかけた人が全員来てくれた。
街の近くで野営の用意をしており、団長とスキャンだけ作戦のため街に泊まってもらう事にした。
「マルコイさん。依頼通り、『アウローラ』は総数40名だ。」
「『ガルベスト』は総数60名になります。」
「長旅お疲れ様。思った通り、帝国と神聖国の戦いは激化してるみたいだ。それにモンスターの氾濫もそろそろ起こりそうだ。なんで明日には目的地に出発するからそのつもりでいて欲しい。」
「神聖国はモンスターはどうするつもりなんだ?」
「神聖国はモンスターは討つべしなんだけど、正直そこまで手が回ってないな。でも自分たちが籠城していれば、帝国もモンスターに挟まれることになるから帝国とモンスター生き残った方を相手すればいいと思ってるみたいだが‥」
でもその作戦だと本当に帝国の裏に魔王がいるなら神聖国滅びるけどね。
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