第590話
何故か勝手に馬鹿にされて納得いかなかったけど、文句を言うべきやつもいないので家に戻る事にした。
家に来た時覚えとけよ‥
家に着き、それぞれ普段着に着替える。
「そういえば正人たちは部屋はどうする？無駄に広い家だからどの部屋でもいいんだけど‥ただ入る前に掃除しとかないと多分埃まみれだぞ。」
「大丈夫ですっ！」
おおっ！
びっくりした。
猫耳メイドのベアトリスさんが急に声をかけてきた。
そういえばベアトリスさんが部屋の掃除をしててくれてたんだっけ。
「マルコイ様達がいらっしゃらない時でも全ての部屋を掃除させてもらっていました。どのお部屋でもすぐに使えるようになってます！」
そりゃ助かる。
正直帰ってきてすぐに正人たちに掃除をしてもらわないとって思ってたからね。
家賃がわりに‥
「すぐに皆様のお茶を準備しますね！リビングでお待ちください！」
ベアトリスはそう言うと、台所へ向かって行った。
しばらくすると人数分のコップとティーポットを持って来た。
駆け足で来るものだからハラハラしてると‥
‥‥‥何もないところで躓いた。
盛大にぶちまけられたコップとティーポット。
落ちる先には‥
正人がいる。
しかし腐っても勇者である正人は、もちろん落ちてきたコップとティーポットから溢れた熱湯を‥
モロに浴びた。
「うわっちぃー！！」
その場で転げ回る正人。
「ああ！すみませんすみません！すぐに拭きます。」
ベアトリスは慌てて正人を持っている布で拭きだした。
すると徐々に汚れていく正人。
「ああ！すみません、雑巾でした！ああ！」
なるほど。
どうやらベアトリスさんは、みんな大好きドジっ子メイドと呼ばれる人のようだ‥
見てるのは楽しいが、される側はたまったもんじゃないだろうな‥
「ああっ！」
うん、どんまい正人。
「だ、大丈夫だ。」
「本当にすみませんすみません。」
そう言いながら正人に近づくベアトリスさん。
すると、やっぱり何もないところで躓く。
よく見ていたら、前に出そうとした右足が左足に引っかかって躓いたようだ。
器用な事をするものだ‥
そしてそのままベアトリスさんは正人の胸の中に飛び込もうと‥
したところで、ベアトリスさんの肘が正人の顔に刺さった。
「ぐぼらっ！」
「ああっ！」
ベアトリスさんが正人の顔の真ん中に刺さった肘を抜くと、正人が噴水のような鼻血を出す。
「ああっ！すみませんすみません。」
そう言いながら、ポケットから布を出して正人の顔を拭くベアトリスさん。
もちろん正人の顔は汚れていく。
特に家に調度品とかなかったけど、何か壊れているものがあるかもしれない。
俺たちは目で合図をして自分の部屋の道具を確認する事にした。
「ああっ！」
がんばれ正人。
正人がだんだんと汚れていくのを見ていると、玄関のチャイムが鳴った。
来客があったようだ。
ベアトリスさんが出ようとしたが、まだ正人と遊んでいるので俺が玄関に出た。
玄関の外には憎っくきノギスとナーシス、それと『狂乱の剣』のパーティメンバーが立っていた。
「マルコイさん！お久しぶりです！」
「兄貴！さっそくお邪魔しました！」
ぬっ！
もう来やがったかノギスめ。
「すみません、ナーシスがどうしても付いて来たいと言うもんで‥」
「別に構わないぞ。」
「兄貴ー！俺、兄貴に認められるだめに、兄貴がいない間に依頼を受けまくってランクもBに上がりましたよ。」
へぇ、随分と早い昇格だな。
俺たちと同じくらいのスピード昇格だな。
「そうか、それはすごいな。その辺の話も聞きたいけど、実際に見せてもらった方がいいかもな。リル、アレカンドロ。」
「はい？」
「フシャーっ？」
「帰ってきて早々に悪いけど、ノギスと模擬戦してもらっていいか？」
ふっふっふ。
恨みを晴らさせてもらうよノギス君。
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