第330話
「誰が筋肉だっ!テメーよほど俺を怒らせたいみてーだな!」
面白いくらいに短気だな。
こんな奴が団長とは‥
よほどサントバルのヤツが手綱を引くのが上手いのか?
しかし‥
俺筋肉って言っちゃった?
「おいサントバル。別に構わんだろ?」
「やめておけ。何を隠し持ってるかわからん。それにここに1人で乗り込んでくるんだ。それなりの準備はしているはずだ。そうですよねマルコイさん?」
俺の耳がすごく良くなって、内緒話も聞こえてるのかと思ったら聞こえるように言ってたのね。
「さあどうでしょう。確かにすんなり捕まる気はありませんけどね。それよりそんな事を言ってもいいんですか?」
「なに構いませんよ。この街は私達の味方です。多少の無理はききます。しかしあなたが本当にホット商会の会長ならそれも怪しくなるかもしれませんけどね。」
この街にもホット商会の物が入り出して人気が出てきてるみたいだな。
ざまぁみろ。
しかしこいつらさっきの団員を斬り捨てた手際といい、あきらかにただの商人じゃないみたいだな。
念のために【鑑定】で確認してみるか‥
筋肉は魔力の感知に鈍そうだが‥
俺が【鑑定】を使おうとするとサントバルが剣に手をかける。
「何か魔力の流れを感じましたが?何かしようとしてますよね?続けるようなら正当防衛として対応しますが?」
サントバルが反応したか‥
ダンバルは筋肉だから気づかないと思ったが、サントバルもやはりただの商人じゃないな。
「すいません。隣の部屋に誰かが来たみたいで。念のために魔力を練ってました。こう見えて少しは腕に自信があるもので。」
すると隣の部屋から数人の男たちが入ってきた。
事前にスキル【察知】でわかっていたからな。
「会長、お話はお済みで‥なんだお前は?」
俺の存在に気づいたその中の1人が滑るようにこちらに進んでくる。
俺はエンチャント:風を使い向かって来た男に向かい進む。
すれ違いざまに顎に掌底を入れる。
男はその場で崩れるように座り込む。
「これはサントバル会長を守ろうとしての行動なのでお互い不問にしましょう。それではまた。近いうちに会いましょう。」
俺はそう言って入ってきた扉から外に出る。
「テメー待ちやがれ!まだ話は終わってねーぞ!」
もう話をする必要もないだろ。
次会う時はお互い準備してからだからな。
どっちかが潰れるまで殴り合いだ。
ナーメルの街から門を通り外に出る。
街の外に出てもスキル【察知】で数人がついてきているのがわかる。
このまま無視して空に上がって帰ってもいいが、移動方法は秘密にしておきたい。
その方が俺がいつ来るかわからないから焦るだろ。
俺は街から少し離れたところで立ち止まる。
「俺に何か用か?」
俺が声をかけると数人の男が道沿いの木の影から現れる。
「ちっ、気づいてたか。」
「そりゃあな。それで『カッカス』のやつらが何の用だ?ここでなら人の目を気にしなくていいから殺ってこいとでも言われたか?」
「はあ〜?何の話だ?俺らはお前が良い身なりをしていたから金持ってそうだなと思っただけだぞ。『カッカス』とやらとは関係ないぞ。」
おいおい。
お前ら思いっきり『カッカス』の拠点から出てきてたじゃないか。
まあそう言えとでも言われてんのかね。
追ってきたやつらをみると、そう強そうなやつはいないな。
体幹もしっかりしてなさそうだし、雰囲気も持っていない。
「何黙ってんだお前。金を寄越さないなら殺してから身ぐるみ剥いでやるぜ!」
もうチンピラやん。
俺はエンチャント:暴風を使い、男たちに迫る。
男たちの間を駆け抜け、顎に掌底を当てていく。
1人を抜かし、その他は膝から崩れ落ちて地面に頭から突っ込む。
残った1人に近づく。
「伝言を伝えろ。『次会う時はお前らは俺に泣いて命乞いするだろう』ってな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます