第819話
霧が俺とゴーレムを包み込む。
視界が若干悪くなるが、特に問題はない。
それにこの霧のおかげで体力や魔力の回復が早くなった気がする。
霧はその範囲を徐々に広げていき、ダリックだった物も包み込む。
すると斬られて蠢いた腕の動きが少しずつ鈍くなっていく。
「すまない、助かったよリル。」
俺は駆けつけてくれた仲間に礼を言う。
「む‥なんでわかった‥?」
「突然霧が発生したら気づくだろ‥」
「なるほどなっとく‥」
俺は声のした方を見る。
すると何故か刀の切先を空に向けてポーズをとっているリルがいた。
「‥‥‥何してるんだ‥?」
「ふっ‥しれたこと‥ゆうしゃはおくれてやってくる‥」
「いやお前勇者じゃないだろ‥」
勇者どころか魔族だからね君。
それに決め台詞でもなんでもないぞ。
「ふ‥‥あとはせっしゃにまかせるがいい‥」
‥‥‥‥誰だコイツにいらん事を吹き込んでるやつは?
そのうち見つけて説教してやらないといけないな‥
そろそろ止めないと取り返しがつかないような気もするし‥
リルは抜き身の刀を持ったまま、ダリックに駆け出す。
近寄ってくるリルに向かって触手が襲いかかる。
「おい!そいつの攻撃は‥」
リルが刀を一振りする。
するとリルの前に迫っていた触手が全て斬り落とされる。
あ、おかしな言動をしてても技は一流でした。
しかしその触手から放たれる血は‥
切れた触手からワンテンポ遅れて血が噴き出る。
あれ?
切れ味が鋭すぎて血が出るのが遅れてませんか‥?
血が噴き出た時にはリルはその場にいない。
更にその身をダリックに向かい進めていた。
ダリックの腕は俺のドリルパンチで千切れ飛んでいる。
リルを迎撃は出来ないだろう。
そう思っていたら、物凄い勢いで腕が再生し出した。
いや、再生とは違うな‥
何か別の物が溢れるように腕のあった場所から出てきている。
溢れ出たのもは、触手となりリルに襲いかかる。
リルの前には数十‥いや数百の触手が蠢いている。
うわぁ‥
気持ち悪。
しかしその程度でどうするつもりだ?
うちのリルさんはその程度じゃ止まらんぞ。
リルが数回刀を振るう。
するとリルを迎撃しようとしていた触手全てが力を失って地面に落ちる。
ふっ‥
何回振ったか俺にも見えなかったんですけど。
そしてリルの刀がダリックに届く。
ダリックの脇を駆け抜けるリル。
そして振り返り‥‥‥
鼻を摘んで戻ってくる‥
え?
なんで?
ダリックの上半身は中程までが斬れて後ろに倒れる。
しかし斬れた部分から肉が溢れ出し、元の状態に戻ろうとしている。
いや、元の状態じゃないな‥
より歪な形になっている。
「リルどうした?」
リルは鼻を摘んでまま、顔を顰めている。
「‥‥‥くさい‥‥‥」
「は?」
「あれ‥くさい‥‥」
んあ?
あ、臭い‥?
「あ、ああ確かにあいつの血が地面を腐食させようとする臭いはかなりきついが‥」
「ちがう‥どうぞくのくさいにおい‥‥」
どうぞく‥‥‥同族?
「リルお前魔族の匂いがわかるのか?」
「ん〜ん‥あんまりわからない‥でもあれはどうぞくっておもった‥‥」
確かに種族で多少の匂いはあると思うが‥
ドワーフであれば土っぽいとかエルフであれば草木の匂いがしたりなど。
だが魔族にそれっぽい匂いがあるなんて聞いた事ないが‥
それにダリックは魔族じゃなかったずだ。
おそらくドワーフだったと思う。
金が大好きなドワーフだ。
「同族なのに臭いのか?」
「‥くさったにおい‥」
腐った臭い‥?
もしかして‥
あれってダリックが魔族を取り込んだのか?
いや、取り込む方法があるか知らんが、もしそうだったとしたら腐る理由がわからない。
拒絶反応?
そういえばダリックは隻腕で、そのなくなった方の腕から紫色の手が出現してた‥
腕だけ移植された?
いや‥‥‥
もしかしたら血か肉かわからないけど、何かを埋め込まれたんじゃないだろうか‥
魔族の一部を‥
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