第186話

「幾つか条件があるけどいいか?」


「全然構わないよ。僕が出来る事ならなんでもするよ。」


コイツはなんでここまで言ってくるんだ?

普通なら約束は守るとしても、条件を絞ってきたりこっちが言ってくるまで会わない方がいいんじゃないのか?

売り言葉に買い言葉で負けたとはいえ相手の言う事を無条件で聞くなんて普通嫌だろう。


「なんでそこまで積極的なんだ?何かあるのか?」


「なんで?‥‥そうだね。一言で言うと本気で惚れたって事かな。」


すぐに俺は距離を保ち警戒する。


「いやだな。僕はハニーの強さに惚れたって事だよ。まあ確かに愛しい人としてもあるけど、それよりも僕より君の方が強かった。強者に惚れるのは普通の事だろう?」


何かロメントが言うとしっくりこないけど、ノギスの件もあるしな。

別におかしい事もないかも。


「とりあえず俺の事をハニーと呼ぶのはやめてくれ。マルコイでいい。他の人が聞いて勘違いされても困る。」


「わかった。これからはマルコイって呼ぶ事にするよ。これはこれで僕としては親しくなれた気がして嬉しいからね。」


やっぱりやめといた方がよかったかな‥

でも今更さん付けで呼べってのもな。


「親しくはないけど、別にそれでいい。」


「つれないなぁマルコイは。」


やはりもう一度倒した方がいいのだろうか‥


「後は俺の要件に質問しない事。いいか?」


「わかったよ。それじゃマルコイからの要求はないんだい?」




「俺からの要求はロメントの冒険者カードを見せてもらって、そのスキルを実際見せてくれ。」


「そんな事かい?別に構わないけど、なんでそんな事を‥」


「質問はしないと言ったはずだ。」


「そうだったね。じゃあどこで見せたらいいんだい?一度外に出るかい?」


「いや、この家には地下室があるからそこで見せてもらったらいい。」


「わかった。それじゃこれが僕のギルドカードだよ。」


ロメントから手渡されたギルドカードを確認する。


ロメント

冒険者ランクS

スキル【精霊魔法】【細剣鬼Lv.7】【魔力操作Lv.6】


なるほど。

スキル【精霊魔法】だけじゃなくて【魔力操作】なんてスキルも持っていたわけか。

それならあれだけの精霊を顕現させる事ができたのにも納得できる。


そのまま地下室に移動してスキルを見せてもらう。


ロメントは手頃な細剣を手に取り剣捌きを見せる。


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【剣士】は統合しています。模倣できませんでした』


なるほど。

スキル【細剣士】は元はスキル【剣士】なんだな。

派生スキルといった認識でいいのだろうか。


「それじゃ次は精霊魔法を行使するよ。」


「頼む。」


「『水の精霊よ。僕に力を貸してくれ。水蛇顕現!』」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【精霊魔法】【魔力操作】を模倣しました』


(ピコーンッ)


『譲渡結合の条件を満たしました。対象がいない為、譲渡結合を中止します』

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