第715話

「すまなかった。貴公達に不快な思いをさせたな。」


ヨエク将軍が去った後に王様が声をかけてくる。


「いや別に構いませんが‥彼は元からあんな風なんですか?」


王様は自分の髭を触りながら少し考えるそぶりを見せる。

まあ一介の冒険者にわざわざ教える必要もないだろうが‥


「そうだな‥気を悪くせずに聞いてほしい。元々彼は誰よりもこの国を思っている将軍だったんだよ。何人も将軍を出している公爵家の出身で、自分が将軍の間にこの国をもっとより良くすると言っておったのだ。それがここ数年取り憑かれたように軍事力を上げる事に躍起になりよった。だが、そのおかげで貴公らが来るまで持ち堪える程度の戦力を持てたのは事実だがな。」


「何かきっかけがあったんですか?」


「そうじゃな‥きっかけがあったといえばあったが、それは15年ほど前の話だ。あの時起こった戦争から彼は変わったのだ‥」


15年前の戦争‥?

その辺の事情はよくわからないな。

後で困った時のアキーエ先生に聞いてみよう。


「だが人が変わったようになったのはここ数年だ。私の言う事すら聞かなくなってきた。このままでは将軍職から外す事も致し方ないと思っておる。」


なるほどね。

まあ結論として、何があったか知らないけどアキーエ泣かした奴はぶっ飛ばすと言う事だ。


まあこのまま大人しくしていてくれればいいけど、あの去り際から大人しくしてるとは思えんしな。


「わかりました。余計な事までお尋ねして申し訳ありませんでした。」


「いや構わんよ。しかし貴公はそっちの方が素なのかな?仏頂面よりも余程好感が持てるぞ。」


やべ。

ついいつもの口調で話してしまった。

まあいいや。

この王様はいい人そうだしな。


「申し訳ありません。この国で最初に会ったのが彼でしたので。少し警戒しておりました。」


「ははっ!そうか。それはすまなかったな。さて、褒美の件は後日でよいか?それまでに何がいいか考えておくがいい。貴公らは依頼を受けた冒険者であろう?一旦戻って報告してくるといい。20日後に貴公らの祝勝会と褒美を渡そう。それでよいか?」


「ありがとうございます。」


「そうか。それではとりあえず今日は疲れたであろう。今から宴をするからしっかりと飲み食いして休むといい。」


「わーい!ご飯ですぅ!」


おわっ!

びっくりした。

いきなりはやめてくださいミミウさん。


「そうかそうか。喜んでくれるか。」


王様は温かい目でミミウを見ている。


「はい!ありがとうございますぅ!お城で食べるご飯もそうだけど、マルコイさんが今日のお肉で料理してくれるからとっても嬉しいですぅ!」


はえ?

お城でご飯もらえるからいいんじゃないの?

え?なに?

俺お城で料理すんの?


「ほほう。貴公は料理も得意であったか?それに食材もあるとな?ならば城の厨房を使っていいから作るとよい。もちろんこちらも料理を出すから貴公だけに任せるわけではないから安心するがいい。」


はぁ‥

王様の感覚だと、ちょっとした料理を作って出すみたいな感覚なんだろうな‥


あなたが考えているものと量が違うんですよ。


「ありがとうございます。ですが他にもこの国に来ている者たちがいます。その者たちも参加してよろしいでしょうか?」


「もちろんだ。この国を護るために戦ってくれた者たちは全て参加してほしい。私が直接お礼を言いたいからな。」


なるべく早く帰りたかったけど、この王様から言われると断りづらい。


しょうがない。

あの将軍が参加する事はないだろうから受けるとするか。


「わかりました。アレカンドロ、バラックスさんたちを連れてきてもらっていいか?」


あ、そういえば魔族を捕まえてたな‥

どうしよう‥


「王様。戦いの時に魔族を1人捕らえました。私を派遣した冒険者ギルドに渡すつもりでしたが、とりあえず一旦ここの牢屋にでも入れていてもらっていいでしょうか?」


「な、なに?魔族だと?」




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