第821話

「ほら行くぞ。」


「う〜‥‥くさいのいや‥」


ええい面倒くさいやつだな‥


「わかったよ、今度新しい刀作ってやるから。」


「うむ‥せっしゃにまかせい‥‥ただせっかくなら、たちとわきざしせっとでくれい‥」


くっ‥


条件を釣り上げてくるとは‥


よし、この代金はいらん事を吹き込んでるやつから回収しよう。


どうせ勇者パーティの誰かだろ。


おそらく正人かあやめ‥


まあ恵って事はないだろうけど。



‥‥‥‥恵?



あれ?


恵って俺たちについてきてたよな?


今なんでいないんだろ?


どっかで忘れてきたのか?


‥‥‥‥まあいいか‥


と、とりあえずコイツを倒してから考えるとしよう。


お、俺は悪くないはずだ‥




「よし!リルは光属性の剣でアイツをできるだけ斬り裂いてくれ。細かくなった方が燃やすのも楽だろうしな。頼んだぞ。」


「‥‥まかせるがいい‥ぶしせっとをてにいれることができるリルにこわいものはない‥」


いや、お前オバケ苦手じゃん。


俺の木偶人形にまだビクッとしてるじゃん。



リルはダリックに向かい走り出す。


心なしかスキップみたいな動きが入るのはどうかと思うぞ。


触手がリルを迎撃しようとするが、リルの一閃で斬り落とされる。


「‥せっしゃのけんにきれぬものなし‥」


リルの手元が動く。


その手が高速に動き、相手に向かって疾走する。


ダリックが横に真っ二つに斬られる。


光属性の剣で斬られたせいか、やはり肉の動きが鈍い。


このまま畳み掛けてくれれば‥


そう思っていたらリルがこちらに鼻を摘んで戻ってきた。


やっぱりだめかぁ‥


「もう少し頑張ってくれるとよかったが‥」


「‥‥ん?‥‥もうおわった‥かたなたのしみ‥」


「あ?」


ダリックに目を向ける。


真っ二つに斬れたと思っていたダリックに幾筋もの線が浮かび上がる。


その線に沿ってダリックの身体がズレていく。


そして細切れとなったダリックが地面に落ちる。




‥‥‥すげえ‥



い、いやいや俺も頑張ればあれくらい‥

いや無理か。


リルの技量が半端ない。


コイツってスキルなしでも十分無双できるよな‥


それなのに何で2回も捕まったんだろ?


少し頭が弱いからな。

そこを突かれたんだろうな‥


「む?‥マルコイ‥ふかいなきぶん‥」


おお!

リルも勘が鋭い。

いや、勘が鋭かったら‥


お、おい!

無言で刀を抜くな!


「‥マルコイ‥はやくやく‥」


おっと、そうだった。


多分俺の魔法じゃ焼き尽くせないよな‥


俺は『スペース』から木偶爆弾を取り出す。


それをバラバラになったダリックに向けて放り投げる。


足りないと不味いから、少し多めにしとくか。



バラバラになった肉塊は元に戻ろうと蠢いているが、動きが随分と鈍い。


今のうちに高火力で焼き尽くしてしまえば復活する事はないだろ。


俺はエンチャント:穿つ者を発動する。


リルの【刀纏水姫】のおかげでかなり魔力も回復できた。


エンチャント:穿つ者はスキル発動にも魔法にも魔力を使うからな。


強力だが効率が悪い。


しかし今はエンチャント:穿つ者で魔法を使っても多少の余裕はある。


「炎神の力よ!彼の敵を穿て『獄炎』!」


肉塊の中心に炎柱が現れる。


そして炎が舐める。


炎は肉塊だけでなく、近くにあった木偶爆弾も包み込む。


木偶爆弾の1つが爆発する。


その爆発に誘爆し次々と爆発と火柱が立つ。


爆発は肉塊だけでなく、周りの建物すら吹き飛ばすほどの大きな爆発となる。


あれ?


ちょっと爆弾置き過ぎた?


ちょ、ちょっとやばいぞ。


「リ、リル!巻き込まれるから逃げ‥」


俺がリルのいた方を向くと、リルが素晴らしい程のスピードで駆ける後ろ姿が見えた。


「お、お前狡いぞ!逃げる前に声くらいかけろ!」


俺は爆発音を聞きながら、リルの後を追いかけた‥









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