第122話

「げっ!お前は‥」


声の方に振り返ると‥

馬鹿がいた。


最後にジャイアントスイングで場外に吹っ飛ばした事でだいぶスッキリしたつもりだったんだが、まだモヤモヤが残っていたようだ。

馬鹿はこちらを見て動こうとしない。


しばらく馬鹿と睨み合いが続く。


「もうノギス!1人で勝手にいかないでよ!」


後ろから見知った顔の女性が追いかけてきた。

ナーシスは俺に気づいて俺に声をかけてくる。


「あ!マルコイさん!お久しぶりです。この間の闘技会見ましたよ!すっごいかっこよかったです!」


ノギスを見てみると地面に突っ伏して土を叩いている。


くっくっく‥

ざまぁよのう。


「そういえばノギスはマルコイさんに謝ったの?どうせ闘技会で失礼なことしたんでしょ?」


お?

さらにダメージを受けてやがる。

ざまあないな!


しかし闘技会でもボコボコにしてやったし、もともと勘違いで絡んできたからな。

少し助けてやるとするか。


「闘技会では別に失礼なことはなかったぞ。それにノギスの態度が悪かったのは、俺とナーシスが会ってるのを知って、パーティの勧誘をされてるって誤解してただけみたいだぞ。」


「そうなんですか?」


「ああ。それにちゃんと2人で会ってるんじゃなくてアリアも一緒だから3人で会ってるって伝えたら誤解も解けたしな。だから闘技会では正々堂々と戦ったぞ。」


「なーんだ。もうノギスったら。早とちりなんだから!」


ふん。

これくらい助け舟だしてやったら、後は自分で何とかするだろ。

ノギスを見ると‥

何かうるうるしながらこっちを見ている‥



「な、な、なんて器がデカいんだ‥完璧に俺の負けだ。俺のやったことをそのまま伝えれば俺は今頃‥兄貴!今日からマルコイの兄貴と呼ばせてくれ!」





「え‥いやだけど‥」




「なんでだよ!いや、わかった兄貴に認めてもらえるような漢になるよ。そしたら俺の事を弟分として認めてくれ!」


え〜‥

すごく嫌なんだけど‥




「あれ?マルコイさんどうしたですか?」


するとちょうどミミウが通りかかった。


「マルコイの兄貴!こちらの方は?」


ノギスがミミウを見て聞いてくる。

答えたくないなぁ‥


「ミミウはマルコイさんのパーティメンバーのミミウですぅ。」


「あ!どこかで見たと思ったら闘技会で他の相手をぶっ飛ばしてた人っすね。さすがマルコイの兄貴!彼女さんもぶっ飛んだ人だったんすね。」


「ん?ミミウはマルコイさんの彼女じゃないですよ。ミミウはマルコイさんのパーティメンバーですぅ。」


するとノギスはまだ半信半疑だったのか、俺のパーティがハーレムパーティじゃない事をようやくわかったようだ。



「やはり兄貴は偉大な人っすね。こんな可愛い人がいるのに手も出さないなんて。漢っす。」


やっぱりこいつ嫌いだ。

そんな漢なんて必要ない。


「あ、そうだ。ノギスのギルドカード見せてもらっていいか?」


もうこの際だ。

嫌なやつだけど、今なら普通に見せるだろ。


「これでいいっすか!」


ほら。


ノギス

冒険者ランクC

スキル【狂戦士】


「ところで闘技会の時に思ったんだが、お前のスキルはリスクありのスキルなのか?」


「そうっすね。普段使ってる時はそうでもないんですけど、興奮したりすると【狂戦士】の力に飲まれそうになります。」


やはり結構危ないスキルだったんだな。

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