第614話
「ようこそ!『ガルベスト』へ!今日はご依頼ですか?それとも結婚ですか?」
『ガルベスト』の拠点では、スネタさんが今日も受付してるみたいだけど、俺の顔を見るなり内容を結婚に寄せるのはやめてほしい‥
「違いますよ。スネタさんにも用事はありますけど、結婚ではありません。」
「わかりました。結婚を前提としたお付き合いからという事ですね。」
あ、相変わらずブレない人だ‥
「マルコイ。そんな奴相手にしてたら時間の無駄だぞ。応接室でい‥ぐはっ!」
宙を舞った椅子がエルエス兄さんの側頭部に直撃した‥
「そんな奴とは何ですか?私にとって何よりも大切な話をしているだけですよ。」
あ、相変わらず激しいツッコミだこと‥
「ぐぐ‥物を投げるなって何度も言っ‥何でもありません。」
スネタさんが持ち上げている机を見て、言葉を濁すエルエス兄さん。
相変わらずナイスパワーですね‥
「どうせスネタもいた方がいいんだろ?ほらマルコイとの結婚は諦めて仕事だ仕事。」
「そうだね。『ガルベスト』への依頼だから、できれば団長のスネタさんにもいてもらった方が助かるよ。」
「わかりました。それでは依頼報酬は結婚ということで。」
「いや、お金です。それに支払い者は神聖国です。」
「神聖国?それはどういう事だ?」
神聖国と聞いて眉間に皺を寄せるエルエス兄さん。
スネタさんも怪訝そうな顔をしている。
「お金よりも結婚の方が‥いやお金を持っていれば結婚も近づく‥」
いや、そっち考えてんのかい!
「マルコイ。悪いが神聖国は余りいい話を聞かないぞ。そんな国からの依頼をお前が持ってくるとは思えないんだが‥?」
「そうだね。確かに前聖王の時は酷かったのは事実だ。でも今の聖王は俺も知っている人なんだけど、まともな‥まともかな?う〜ん‥」
少し考えてしまう。
だって変な人なんだもん。
「宗教については、ちょっとおかしい人かな。でも国の事を誰よりも思っている人なんだ。だから前聖王がやってきた事に対しても頭を下げる事ができるような人だ。獣王様もそれは認めている。だから聖王の元で国が立ち直ろうとしている今、それを崩そうとする奴らがいるのなら、神聖国のために戦おうと思っている。」
エルエス兄さんは俺を見ている。
そしてふっと笑う。
「お前がそう思うなら俺は構わない。スネタ!お前はどうする?」
スネタさんは俺を真剣な表情で見つめる。
「マルコイさん‥‥‥その聖王様は御結婚されていますか?」
「何でだよ!関係あるのかよそれっ!」
おう。
エルエス兄さん、今日もキレのあるツッコミですね。
しかしスネタさん、ますます拗らせてる気がするんだけど‥
「関係あるに決まってるじゃないですか!聖王様がご結婚されてたら、報酬で結婚をお願いできないじゃないですか!」
「いや、お前報酬で結婚しようとするんじゃないっての!」
「じゃあどうやって結婚したらいいんですかっ!」
「知らねーよ、そんなの!」
ふむ。
どっかのSランクおっさんを思い出すな‥
「聖王様は結婚されてないと思いますけど、今後結婚とかしそうにないと思いますよ。それだったら報酬で騎士団の人を紹介して貰えばいいじゃないですか?」
「なるほど!それじゃあ『ガルベスト』は喜んで参加させてもらうわ!」
これでいいのか?
まあ本人が納得すればいいんだけど‥
よし。
これで魔族に対しての人員は、準備が整ったと思っていいかな。
魔族は元々少数の種族だし、今回の帝国にいるのも数人と聞いている。
しかしモンスターの数は不明だからな。
人数は多いに越した事はないが、あまり数が多過ぎると魔道具が行き渡らなくて、被害が増えるだけだろう。
あとは俺の魔道具の準備だな。
「それじゃあ期日は約一月後だ。また連絡するから準備をしといてくれ。」
「おう。」「はい。」
さてと‥
あとは楽しい魔道具作成だな!
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