第339話
「ああ。しかしこの間『カッカス』に行った時、襲撃してきた奴より強そうなのは筋肉とサントバルくらいだった。もちろんだからといってトップが襲ってくるとは思わないけどな。」
いやあの筋肉ならありえない事はないかも‥
なんかいかにも脳みそ筋肉っぽいもんな。
「だから次に来る時は確実に仕留めらるような準備若しくは人選をしてくるはずだ。」
「なるほどね。だから防衛手段を充実させてるわけね。てっきり新しいスキルが手に入ったから、喜んで使ってるのかと思ったわ。」
おうっ!
アキーエさん鋭い!
確かにちょっと作りたい物作ってる感はあります‥
「羽根人形はやり過ぎだったけど、誰にも傷ついて欲しくないからな。俺に出来る事は全部しないと。」
「何言ってるの。羽根人形も充分活躍出来そうよ。危なくなったら空に逃げればいいんだし。それとあんまり自分だけでどうにかしようと考えないでね。わたしたちもマルコイの力になりたいんだから。」
ふふ。
その言葉だけで充分過ぎるほど力になるな。
「ありがとう。それじゃあアキーエの部屋の前に殺戮人形の待機場所を作るつもりだから手伝ってくれるか?」
「わかったわ。私の部屋の前に人形の待機場所をつくるのね!って何で私の部屋の前なのよっ!」
迫ってくるアキーエの突っ込みを【予測変換】で辛うじて避ける‥
逃げなくてはっ!
俺とアキーエが追いかけっこをしている様をキリーエたちが平和そうに見ていた‥
スキル【スードウクリエイター】は人形の作成以外にも役に立った。
おいおい!それは人形じゃないよな?ってのまで作る事ができた。
異世界の楽器である、ギターや木琴、木製の笛などがそうだ。
はっきり言って【スードウクリエイター】は反則である。
あんまり使えないのでは?と思ってしまった自分を大いに反省したい。
人工核をつける直前でやめてしまえば魔力はそこまで消費しない。
多分数日あればロンギルに楽器が行き渡る量の半分程度は作成できるのではないだろうか。
そろそろ『カッカス』が仕掛けてくるかもしれないので、そこまで魔力を消費するわけにはいかないが、3分の1程度使ったとしてもかなりの量ができる。
これも新たなホット商会の商品としてナーメル以外の街に卸していく。
これで少しずつナイコビ包囲網ができていくと思うので頑張らなければ。
「マルコイさんお邪魔するよ。」
声の方を見るとスキャンだった。
人が来ているのはわかっていたが、誰かまではわからなかった。
待ち人来るってとこかな。
「また何かヘンテコな物を作ってるな?それもホット商会の商品かい?」
「ああそうだ。これは音を鳴らす物でギターってやつだ。後で弦を張ってから出来上がりにはなるけどな。」
「弦?」
「そうだ。羊の腸を乾かした物を使うんだけど、そっちの方は手配しているから俺が出来る作業はここまでだ。完成品はそこにあるやつだ。」
俺は出来上がっているギターを指さした。
するとスキャンはギターを手に取り音を鳴らす。
「おお!これはいいな。マルコイさんできたら俺にも1つ売ってもらえないか?」
「気に入ったんなら持って行ってくれていいぞ。今日来たのも何か情報があって来てくれたんだろ?そのお礼だ。」
「それは嬉しい。ありがたく頂戴するよ。」
スキャンは嬉しそうにギターを抱えている。
「それで今日はどんな情報を持ってきてくれたんだ?」
「ああそうだった。ナーメルにいる仲間から連絡があった。『カッカス』の拠点に2人組が来たそうだ。フードを被っていたから性別はわからなかったみたいだが。」
ようやく動きがあったか。
今回は人を選んで送り込むようだな。
しかしなかなか時間をかけたものだ。
前回の襲撃者より確実に強いと思っていた方がよさそうだ。
しかしうちも殺戮人形に撲殺女神と要塞天使がいる。
万全の準備を持ってあたらせてもらおうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます