第427話

御神体はまだいい。

時々拝む人がいるけど、あれは俺じゃないと思ってるから別に構わない。

なんかむず痒いけど。


問題は教典だ。

俺もまだ中身は見てないけど、何が書いてあるかは確認しなくてはいけない。

見たくないけど。


教典は皆が手に取りやすいように複写してあり、チキン南蛮を買うために並んでいる人たちが、時々手に取って眺めていた。


俺は列に並ばずに教典だけ手に取り、その場から離れた。

タールさんに読んでいるところを見られたくないからな。


人気のないところなんて今日のモールにはないので、適当なところで立ち止まって読んでみる。




Ⅰ.タルタル教は最高神タルタルを唯一神とし、その信者を増やす事を目的とする。


Ⅰ.タルタル教はタルタルソースを世に広める事を目的とする。


Ⅰ.タルタル教はタルタルの味を追求し、タルタルの真理に辿り着く事を目的とする。


Ⅰ.タルタル教は‥


俺は途中で紙をポケットにしまった。


これは多分‥

世に出してはいけない物のような気がする。


最高神タルタルってなんだ‥?


遠くない未来、俺はタルタル教と訣別するために、タルタル教本部に話をしに行く必要がありそうだ。



‥‥‥いや、てかタルタルソースって調味料だよね?


なんでこんなおかしな事になってるんですか?

フーラさんのせいだよな‥

そのうちタルタル教のせいで、宗教間の問題でタルタルソースが禁止になる国とか出そうで怖いんですけど。


どうしたら防げるのか、よくわからん。

そのうち皆んなで話をしよう‥






ホットモールはよくわからない宗教以外は大盛況だった。


あとは数日引き継ぎや、モールの新しい責任者や、運営側の人間を任命するなどの時間が必要らしい。


そうなると俺は数日予定がなくなる。


いや、正確には予定があるのだがね。


時間がある時に木偶人形や木偶爆弾を作りまくったが、残念ながら【スードウクリエイター】のレベルは上がらなかった。


しかし【ディバイズメイキング】により、金属の関節部位の作成に成功した。


そして何よりスキル【ディバイズメイキング】の素晴らしい所は、素材から部品を取り出す事ができる事。


つまり、異世界のゴムと呼ばれるものさえ、ゴムの木が有れば取り出す事ができるのだ。


この世界ではゴムの役割をしているのは、伸縮性のある動物の皮や内臓などだが、劣化も早く高い伸縮性は望めない。


このゴムを取り出す事ができたのが大きな進展だった。


時間を見つけてはロンギルのアレカンドロの家に行き、庭でゴーレム作成をコツコツとやっていた。


機体は木材で作成して関節部位は金属やゴムで作成する。


多分スキルのレベルが上がれば、異世界の自動制御などの装置やさまざまな部品を作る事ができるだろう。


それこそミスリルで出来た二足歩行の搭乗型ゴーレムでさえ作る事ができるはず。


まあ、今のスキルレベルでは難しいので、今回は今のレベルで出来る最高の機体を作ろう。


動力は魔力回路を使用するが、手元の操作版で各モーターを動かし機体を動かすのだ。


無理に魔力回路で動かさない分、その動力を強化する魔力回路をつける事が出来た。


大きさは色々秘密兵器を取り付けていたら、俺の3倍くらいの大きさになってしまったが、それはご愛嬌だ。


普通に関節部位が見えてしまうと、人が作った物だと思われる。


巨大木偶人形の外側を【スードウクリエイター】を使い、岩で覆う。


これで見た目はゴーレムの亜種に見えなくもないんじゃないだろうか‥


まあ搭乗者は周りが見えるように最頂部に乗り込むから、ゴーレムに見えた所で関係ないか。


ガラスも【ディバイズメイキング】で作る事が出来たが、今のレベルでは液晶は作る事が出来なかったし、設計図も出来なかった。


そのうち中に乗っていても周りが見えるような物を作りたいものだ。


さて、とりあえず完成した試作品、ゼロ号機とでも名付けようか。

これをあの人の元に持っていくとするか。

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