第468話
俺たちがアースンに戻り、とりあえず祝勝会という名の魔道具の使用具合どうでした会をしようと話をしていた時にその報告はあった。
「クワイス団長。神聖国ですが、騎士団が帝国に敗れ現在聖都に侵攻されているようです。」
あちゃー。
俺たちがモンスターを倒したとしても、元々負け戦だったか。
「そうか。神聖国には勇者がいたよな?その勇者はどうなってるんだ?」
「はい。誰かはわかりませんが、どうやら勇者パーティの1人が負傷したらしく、神聖国に戻り治療を受けているそうです。このままでは聖都が落ちるのも時間の問題かと。」
そこまで戦況が悪いのか‥
どうしたものかな‥
神聖国がどうなろうと知った事ではないが、勇者が戦えなくなるのは不味い。
スキル【勇者】は魔族に対しての特効スキルではあるが、魔族以外には身体能力を多少上げる程度のスキルだからな‥
このまま帝国が神聖国を攻めて勇者を保護するならいいんだけどなぁ。
でも帝国って多分魔族と繋がってそうだから、勇者を保護しないよな‥
帝国の侵攻を止めるのは、そんなに難しくないような気がする。
多分帝国兵の上から木偶爆弾落としまくったら、さすがに自国に戻るだろう。
でもそんな事したくないしなぁ‥
あっ!
「なあアキーエ。」
「なに?どうせ勇者の人たちを助けたいから神聖国に行ってくるって言うんでしょ?わたしたちはどうしたらいいの?」
ありゃ。
アキーエさんお見通しでしたか。
「すまないな。あんまり派手な事はしたくないから、今回は俺1人で行ってくる。多分そんなに日数はかからないと思うから、少し待っててくれ。」
「わかったわ。そんなに気になるなら、説得してこっちへ来て貰えばいいのに。」
「そうだな。もうそっちの方が早い気もするな。多分神聖国が元の世界に戻せるとは思えないし、戻せるとしてもそんな気さらさらないだろ。」
「そうでしょうね。勇者は神聖国にとって利でしかないものね。戻す気なんてないと思うわ。でも元の世界に戻りたいって気持ちも強いと思う。だからマルコイ。わたしはわたし含めて6人くらいまでは大丈夫だから。」
ん?
6人くらいは大丈夫?
何の事だ?
「そのうちわかると思うから気にしなくていいわよ。それじゃあ行ってらっしゃい。他の人にはわたしから言っておくわ。」
「すまないな。いつもありがとう。」
「どういたしまして。」
その様子を見ていたクワイスが呟くのが聞こえた。
「よくできた娘さんだよ‥」
今更何を言ってるのかね。
アキーエは元々いい女だぞ。
俺は1人ロンギルの秘密基地に来ていた。
帝国を撤退させる事は無理かもしれないけど、士気を下げる事はできると思う。
そのための魔道具を秘密基地に取りに来た。
目的の物を『スペース』に入れて、念のために神聖国近くの街に置いてきた目印の元に転移する。
ここからは羽根人形での移動だな。
もうすでに日も暮れていい感じになってきている。
俺は月の灯りを頼りに夜の空を飛ぶ。
スキル【察知】に反応がある。
目の前に神聖国の聖都が見えてきた。
このまま聖都に寄って勇者御一行を連れ出したい所だが、説得もしてないので時間がかかるだろう。
それに今回の目的は勇者を連れてくる事じゃないしな。
俺は聖都を見下ろしながら、そのまま上空を飛ぶ。
聖都の中央に馬鹿でかい神殿がある。
あれが聖都の大神殿か‥
見る機会なんてないと思ってたんだけど‥
まあこんな形であれ見る事ができてよかった。
神聖国には近寄りたくないけど、俺のスキルも女神様がくれたスキルだろうからな。
このスキルのおかげで色んな人に会えたし、色々な事ができてる。
それには感謝しています。
もしこの国がまともな国になったら寄らせてもらいます。
そう思い、大神殿に向かい一礼するとマルコイは聖都を後にした。
そのマルコイに向かい、大神殿が薄く光ったように見えた‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます