53話 TS化した僕の妹が反抗期からデレ期になっている件について

[兄さん今、プライベートボックス使った!?]

「ん?ああ。どうかしたのか?」

[それ、今使える人ほとんどいないって…]

「少し分かり難いが、友人も普通に使えたぞ?」

 ───ああ、これほぼほぼ当たり前と思って広めていないパターンだ。

「どうしたんだ?」

[そのプライベートボックス、ほとんどの人が習得方法知らないんだ…僕は教えて貰ったけど、ほとんどの探索者は知らないか秘匿しているらしい]

「まあ、良いんじゃないか?あったら都合の悪い側の人間がいるから広まっていないわけだろうしな」

[あー…そっかぁ…まあ、いいや。それよりクッキーだね]

「そうだな。これは佑那が一人で作ったんだぞ」

 なん、だと…?

「私だって年頃の女性ですから、このようなものを作ったりするのは当然かと」

 顔を赤くしてちょっと怒った感じで言う妹に、少し前までの反抗期特有の攻撃性や突き放したがるような言い方は影を潜めていた。

 むしろお嬢様っぽく?

[そっか。うん。ありがとう…嬉しいよ]

「~~~~~っ!に、姉さん!」

[?どしたの?]

「あの、偶には、うちに帰ってきてください!」

[えっ?僕、家に帰っても大丈夫なの?]

「えっ?」

[だって前に「友紀兄さんはもう帰ってこないでください!」って言われたから…]

「う゛っ…それは、あの…すみません…あの時は学校の方で色々ありまして…」

[苛められていたの?]

「何?」

 兄さんが険しい顔をした。

 ───僕達の兄であり、お父さんをしてきた兄さんにとってそれはきっと看過できないことだ。

「いえ!イジメと言いますか、兄さん達の件で…」

[えっ?僕達?]

「…今だから言いますが、兄さん達が仲良く家に居て戯れつき合っている姿を何度も見た方々がですね…尊いカップルだと…」

[…………………あー…その界隈のご腐人にロックオンされていたのかぁ…

 いや、僕としては別に相手の妄想に自分が動かされているわけじゃないから困らないんだけど…]

「私が嫌なんです!兄さん達がいやらしい目で見られるのが!」

 うわ?佑那が激高した。

「毎回毎回兄さん達のカップリングについて生徒会で討論しているのを端から見ていていっそこいつら全員殴り倒したらマシになるかなと半年思いましたから」

 ───結構拙い状況だった件について。

「最近の女性はそんな傾向にあるのか…静留は普通だが、真子辺りは可能性があったか…?」

 止めて兄さん!変な考察してるととんでもない事になるよ!?


 何故かせお姉様から【準備できたから来ても大丈夫だよ】という謎メッセージが届いたので話を切り上げて神域に行く事になった。

 尚、大山様は強制退場されたらしい。

 日本の社数でいうと結構な数ある神様ですよね!?そんなにぞんざいで良いの!?まあ、ゆる姉様とミツルギ姉様はそんなの関係ないんだろうなぁ…

 そんな事を思いながら二人を神域へと案内する。

 そこでふと気付いた。

[佑那。職判定はまだだよね?]

「えっ?うん。まだ二十歳になってないし…まあ、もう数週間ないけど」

 ───うーん…まあ、いっか。

 多分兄さんで騒動になるし。絶対に。

 佑那に関しては…これで何かあったらどうしよう…

 まあ、その時はその時だと思おう。

 兄さんもいるし、きっと何とかなる。

 そう信じて神域の扉を開けた。


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