717話 修行明け疲れくる友紀


「神から人になったって…どういう事?」

「お前は生者だろ?だから今は神だとしてもまだ人であるんだよ。だから器と魂の器の両方を広げ、魂や器の許容量と耐性を超越者クラスにまで押し上げる事ができれば…こうなる」

 いや、なんかこれ、バグ技みたいな感じじゃないのかなぁ!?


「中位中級世界までは人種の限界点規定が厳密すぎて超人が限界点。超越者が現れたときは神人扱いとなり人の枠から外れ、職業やスキルの恩恵を受けられなくなる」

 兄さんにそう言われ、僕は「マズイ」と思った。

「それは困るよ!?」

 だってそうなると救命師団の皆が!

「落ち着け。お前のスキルは魂に紐付いているだろうから問題無い」

 えっ?

「考えてみろ。その救命師団召喚などはどのタイミングにだった?」

「あっ」

「まあ、最悪スキル消失しても箱庭に居る連中は残る。佑那の神兵同様箱庭の供給を半ば受けているようなものだからな」

「供給を受けている?」

「箱庭の食事や神気だ。神兵達もこのままだとそろそろ位が上がりそうだ」

 皆が自由に動き回っているからこそ強くなる不思議空間…あれ?

「なんか、皆がやらかしている気がしてきたぞぅ!?」

「まあ、お前というストッパーがいなかったらやらかしが雪だるま式に膨らむだろうなぁ…寂しいからとお前の彫像を作ったり、それに色々追加して周りがそれを見て騒いで偉いことになっていたり…

 更にその光景をあの箱庭にいける神々が喧伝して大騒ぎになったり」

「恐ろしい事言わないで!?」

 叫ぶ僕に兄さんは真面目な顔で一言。

「マイヤ嬢なら絶対にやる。寂しさを紛らわせるために。そしてリムネー嬢がそれに全力で協力するだろうな」

 ああ、容易に想像できる…

 僕の顔色を見て兄さんはニヤリと笑い、

「さあ、目標までもうひと頑張りだ。早くしないときっと大変な事になるぞ」

「うにゃーーーーーっっ!!」

 叫びながら僕は残っていた追加課題を頑張った。


 で、現在。

 説明3時間、修行37時間+αの2日間の修行を終えたわけですが…兄さんからの総評としては「ラヴィ姉さん達に礼を言っておくように」とのことでした。

「アレがいたから魂が拡張できていたし、アレが抜けたからそこに余裕が出来た。アレが器を補強し、あのトラブルが更に器を最適化し、過剰にしっかりとした再構成を行った」

 というちょっと首をかしげる感じのお言葉。

 要は基礎は殆どできていたとのこと。

 ただ、魂の粘度や純度を高めるのはやっぱり自分でしなければならなかったとのことで…甘くとろとろに?ドロドロに褒め殺しされました。

 役作りとかではなく素の自分。

 自己否定ではなく肯定しつつもフラットに。

 兄さんから「常識を知ろうな?」って言われたときに「僕もそうだけど、兄さんが言う」ってノータイムで返せるようになったのは進歩と言えるのだろうか…

 兎も角、超短期間での修行は終わったわけで…箱庭に帰る。

 その前に…ユルフテラ様含め場所を貸して戴いた方々にお礼回りをしなければ…

 あと、良さそうなモノがあれば買わなきゃ(使命感)。


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