809話 巫女様’sお悩み相談室


 とりあえず扉を閉めて中に座る。

 うわあ…この椅子凄く心地良いんですけど…あっ、誰か入ってきましたね…

「あのっ、私大学3年生で探索社歴は1年もないのですが…同じグループの人がストーカーしてきて、怖くて…」

 ストーカーのお悩み相談は少し難しいですね…んっ?

 ジャンヌさんのパネルが光ってる?えっ?どういう事?


 これもしかしてジャンヌさんが答えたいって事かな?

 そう思いパネルをタッチすると…

『迷える子羊よ、その悩みに私、ジャンヌ・ダルクが答えましょう』

「ぅええっ!?あの、巫女様が聞いて下さっているのでは…」

「あっ、はい。私も聞いておりますが…ジャンヌさんが答えたがっておりますので…」

「ええええ?」

『答えは簡単です。体を鍛えましょう!』

「えっ?」

『努力と筋肉は裏切りません!ただ、努力は質と量とアプローチで大きく変わるのです!』

「……努力は質と量とアプローチ…」

 なんかいきなりぶっ飛んだこと言い始めたんですけど!?

『貴女はただただ怖い、それを聞いて欲しい…そう思ってきたと思いますが、解決策はあるのです。このままだと対人関係を恐れ、警察にも言えずやがては…そうなる前に鍛えましょう!』

「きんにくは、うらぎらない!」

 あっ、これやば…

『暫くの間、ジムをお借りしても?』

「マンションのですか?ええ、問題ありませんが…」

『怯え惑う子羊よ、私の元に来て一緒に鍛えましょう!』

「きんにくは、うらぎらない!」

 なんでそんな短時間で洗脳されてるのでしょうかねぇ!?

 待って!これ私のせいにされちゃう!



 その後3名ほどジムの新規入会者が増えましたが…いえ、お金取っていませんからね?アレ。

 懺悔でも何でも無くお悩み相談が9割。

 ガチ懺悔1割でしたが…神は大概のことはお許しになります何せ大雑把おおらかなので。おかずの量の違いなどで喧嘩しているような神様はいらっしゃいません。

 ……22名来て私が答えたのは2名のみ…中にはミカエル様に叱られた方もいましたが…その部分だけはカットされていましたね。

【センシティブな内容のため一時遮断しております】と出ていたのは…うん。

 おっといけない。早く出て元の姿に戻らなければ…

 扉を開け、告解室から出る。

 カウンターの向こう側から一斉に視線を感じるもののスルーして告解室を消して元の姿に…姿…なんで、

 なんで巫女服なんですかねぇ?

 せお姉様か伊邪那美お母さんか…

 とりあえず素知らぬ顔で自ブースへと戻るとしましょう。

「岩崎…お前さんは…」

 課長さんが私を見てため息を吐いていますね…まあ仕方ないとは思いますが。

「いえ、これは神様方の犯行なので何とも…」

「……ああ、修道服だったから嫉妬した訳か」

「恐らくは」

 悪戯だったら…ぶっ飛ばすZO?

「早く元の姿に戻ってくれ。他から見に来るからな」

 ああ、リムネーと同じ姿でしたね…うっかりうっかり。

 いや私のせいじゃないですし?

 手早く元の姿に戻り時計を見ると…ちょうど退勤時刻となったようで。

 そして誰かがみこチャンネルを見ていたのか『いっそ殺せー!』とお三方が叫んでいる声がした。


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