381話 ステーキとハイシン

 あれ以降特に大きな問題も無く終業時間となったので帰宅準備をする。

「今日は特製ソースをふんだんに使ったステーキにしようかなぁ」

 醤油、日本酒、赤ワイン、バター、蜂蜜でつくるワインベースのソースと、

 タマネギ、ニンニク、ケチャップ、醤油、バター、日本酒でつくる玉ねぎケチャップの二大巨頭ソース。

 あとは…オレンジソースも捨てがたい…でも葡萄ソースも…」

「岩崎、頼む。色々と耐えきれなくなるから思考を漏らさないでくれ…」

 えっ?と周りを見るとブースにいた皆が切なそうな顔でこちらを見ていた。

「えっと…ソースのことしか考えていなかったんですけど」

「時間的に、辛すぎます…」

 流石に巽さんにまで言われたら謝るしか無い。

「…うん。ごめんなさい」

 急いで帰ろう。



 お夕飯はステーキとサラダ、トマトスープだけでした!

 いや、大盛況でしたけどね?

 下拵えがちょっと大変なくらいで、かなり楽できましたけど…

 そんなちょっと微妙な気持ちのままスタジオへ入る。

「今更なんですけど、前も言ったかな?ゆる姉様方が配信をしているのであれば僕いりませんよね?」

「何を言うのさ!ゆーちゃんでしか補給できないモノがあるんだよ!?この配信は全世界だけじゃないんだから!」

「………うん」


『巫女様ハイライトオフで虚空見て頷いてるぅ』

『駄目だ此奴ら早く何とかしないと…w』

『巫女様の御心が広すぎて泣ける』

『ようやく解き放たれたワイ、巫女様に会うために日本へ飛び立つ』

『戦闘ニキ?ではない?』

『戦闘ニキは暫くは無理らしいぞ』

『と言うよりも今日の件、巫女様無事だった!?』

『そう言えば!』

『説明が説明だったせいで頭に入ってなかったw』


「えっ?襲撃のことでしたら問題なかったです。上司が気付いて助けてくれましたし、スキルなど二重、三重の守りがあるので」


『ガード堅すぎワロタ』

『エチエチな服になればなるほど強い防御力がある?』

『そ れ だ!』


「あ、そう言えばこの配信を上位世界の方々が見ているのなら…協力していただき心より感謝申し上げます」


『鮮やかなスルー!』

『そらそうよ』

『?何か今回の件で協力してもらったと?』

『巫女様スゲェ…』


「っと?ここで緊急速報。現在欧州地域で大規模なスタンピードと共にライカンスロープが確認されたらしいよ」

「狼人間…でしたっけ?」

「そう。なので安全な所への避難を急いで~」


『助けて!』

『今緊急速報来た!弾丸避けるらしいぞ?』

『面攻撃すら避ける速さを持つ相手って最悪じゃ無いですか!』

『今こそステッカーを…やっぱ勿体ないから保管で』


「いや、命の方が大切なので使える物は使った方が良いですよ?」

「そもそもライカンスロープ自体速さと怪力だけだよ?」

「いやあの、普通の人達にとっては悪夢以外の何ものでも無いですからね?」


『巫女様もっと言ってやって!』

『神様方からすれば弱者扱いなのかぁ…』

『うわぁ…そりゃあそうですけどさぁ…』


「…うん。今のはゆる姉様が悪いです」

「私が悪いの!?強くて御免ねぇ!」

「……なんという煽り行為。これは注意をしなければ…」


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