80話 TS化した僕はメッセンジャーの役割を一時放棄する

 色々な騒ぎがありましたが、まあ僕が騒いでもどうしようもないので席に着きボーッとする。

「姫様。今回の会見の流れですが…姫がいない想定のままで宜しかったのですか?」

[はい。恐らく仕組んだ方々は僕を表に出したくて仕方ないと思いますので…その場合どうなるか分かっていただこうかなと]

 いつもとは違う笑みを浮かべているのに気付いた巽さんは僅かに顔を引きつらせた。

「その…どのような事を…」

[僕はメッセンジャーの役割を一時的に放棄し、記者の方々が直接神々とお話をして貰おうかと]

 僕の台詞に巽さんの顔面が蒼白になった。

「姫様!お考え直しください!そんな事をなされては姫様のお体が!」

 あ、そっち!?

[大丈夫ですよ。そのための用意はできていますから]

「用意、ですか」

[はい。あと]

「何でしょうか」

[僕に話を振られるまで目を閉じて黙っているのでよろしくお願いしますね]

「…かしこまりました」

 巽さんは一礼して壁側にある席へと着く。

 何かあった時のためにと言うことらしいけど…今回何かあったら凄いよ?


 報道陣が続々と入ってきて機材をセッティングしていく。

 中には僕のことを聞いている人もいるみたいだけど、僕は何も喋らず、目を閉じている。

【せお:特番に差し替えだって!】

【はは:どのようなおしおきをしようかまよいます】

【せお:伊邪那美様…思考で書き込めるのですからもう少し読みやすいようにお願いします】

【ゆる:襲撃者の聴取終わった!ちょっと殴って良いタイプの輩だからみんなが帰ってくるまでに片付けておくね】

【ミツ姉:頼む】

【今夜はカレーライスだよー】

【せお:神威80%増しでがんばりゅ!】

【止めてください死んでしまいます(一般人が)】

【ゆる:ゆーちゃんの妹無事だったじゃないか!】

【いや、ガクブルしていたからね!?】

【ゆる:普通、それだけじゃ済まないんだけどなぁ…】

【せお:カレーはプレーン?ポーク?カツ?チキン?あ、辛口?甘口?】

【秘密です】

【せお:気になる!】

 なんて事はない。ただ単に神様方とメッセージのやりとりをしていただけだったりする。

 せお姉様のカレーに対するアタックが和食並みなんですけど?

 ───帰りに食材追加で買っておこう。

『これより───』

 さて、始まるようだ。


 今回の騒動についての緊急記者会見で協会等からの情報は主に3つ。

 1.昨夜から騒ぎになっているある二つの国、国民全員が突如肺に花が咲き、呼吸がし辛くなると言う事態に陥った件は神の御使いに襲撃を仕掛けてきたその国の人間達に対する神の警告と軽い威嚇である。

 2.本日朝から協会本部に大量のメールや電話、ファックスで嘆願書が送られてきたが、意味が分からないし迷惑である。悪質な物に関しては厳しい対応をすること。

 3.政府としては万人に分かるレベルで神の神託が下されている以上、その存在を否定することは出来ない。よって現在一部ではあるが正当な手続きを経て神託者承認及び国として神々へのお力添えをお願いしている最中である。

 ───まあ、今日慌てて用意した内容だから薄いのは仕方ないよね!

 いや、濃いか。

 超要約すると、


 1.神様のメッセンジャーである僕を襲撃したから連帯責任で警告したってさ!

 2.今日朝からその件含め嘆願書とか色々届いていて超迷惑。変な事書いたヤツ、覚えてろよ?

 3.国民に分かるようなアナウンスされたんで神様信じないわけにはいかないよね?今僕に外交特権とか色々便宜図ってお願いしているんだから変な事しないでよ。


 という内容を30分くらい説明していました。

 長いよねぇ…

 長いので僕はメッセージで盛り上がっていました。

『では、質問のある方は───』

 おっと、本番が始まるようですよ?


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