81話 TS化した僕は神降ろしを決行する
予想通り、と言えば予想通りの滑り出しだった。
「襲撃って何?」から始まり、「神様って本当に居るの?」や「それ本当に神様?」など、イエローカードや下手をすると一発(この世から)退場レベルの質問が飛んでいた。
───ヤバ目の質問が来る度に、視線をチラチラこちらに向けるのは止めてください。いやでも緊張してきますから。
目を瞑っていた理由は沢山の人を見ないためでもあったんですよ!?
気を落ち着けるために記者の質問に対する課長や官公庁の返答をアバウトに列挙!
Q1.襲撃って何?
A1.とある国々が神託が欲しいからと安易に神託の神子を拉致しようと襲撃するも失敗。それに対し神が警告として二日間だけ肺に一輪の花を咲かせ、その理由をそれら国民全員にメッセージとして送ったとの事です。
Q2.神様って本当に居るの?
A2.お前それ聞いちゃう?日本人じゃない?ああ、失礼。一度とある事件でメッセンジャーとして使わせていた神託の神子を侮辱した者がいて、それに怒った日本の神がペナルティとしてその神が与えていた職業及びスキルの権限を一時凍結した。これが神の所業では無いのなら何なのか教えて欲しい。
Q3.それ本当に神様?
A3.鬼や悪魔とはまったく異なる者であり、現にとある神社で神託後力が増し、その周辺に起きていた怪異が無くなったと聞いています。それと、今言ったこと、責任取れるよな?神の存在を信じ切れず悪魔召喚をやろうとした連中がとんでもない事になっているという情報があるんだが?
さあ、盛り上がってまいりました。
課長が少し喧嘩腰なんですよ。課長が戦闘モードに近いんですよ。
一部の記者さん達、気圧されているんですが、まだちょっと馬鹿にしている人もいるんですよねぇ…
「国が詐欺に担がされているなんて事はないですよね?」
『…今の方、所属と名前を先に言ってください』
「○○報動画の庭崎です。それで、この質問の回答はいかがですか?」
「詐欺に担がされていると、仰りましたが、もし神に対して疑いの目を向け、不敬と処された場合はどうすることも出来ないのですよ?
あなたはその言動に責任を持てるのですか?先程も言いましたが、神託の神子を侮辱する発言をした結果、国民に不利益が発生したのです。
人の尺度と神の尺度は違います。貴方のその発言が例え個人の発言だと此方が弁明しても一切の容赦なく神罰が下る可能性があるのです。
現に襲撃をした二カ国は国民全員が被害を被っています。現在この国にいるその国の人間ですら、です」
うわぁ…気圧されてる気圧されてる。
と、
「しかし神はこれまで何もしてこなかったのでは?」
その横に居た記者らしからぬ人がそう言った。
「失礼。彼と同じ○○報動画の横見です。神様が急に動き出してあれこれ介入して来た。これは事実ですよね?今まで何もしてこなかったのに。ダンジョンは我々にとって恵み以外の何者でも無いのですよ?傲慢では?」
はいアウトォ!
チェンジ!僕とチェンジ!これマズイ!
僕はそっと席を立ち、テーブルを空間操作で壁際の巽さんの前へと移動させる。
喉に気を入れて言葉を発する。
「お応えします…これまでしてこなかったというのは大きな間違いです。この国に関して言えば何度も神との約定を違え、それでも我が子孫のため、もしくは神徒のためと結界を張り、強力な怪異物の怪等から守らんと心から信仰する者が減り力が落ちてもなお必死に力を尽くしていた…
貴方方は知っていますか?この国の神々はその長きにわたる信仰の力、その全てを出し切ってまで現在ダンジョンの前に結界を張り暴走を防いでいるのです。
神々の中でも力尽き、神界へと強制的に送り返される神もいます。そして今、あなたの発言によってこの国の神の一部がもし、その結界を止めてしまった場合、どうなるか…分かりますよね?」
「っ…それは脅しですか?」
「いいえ?私はただ確認しただけですよ?先程から何度も藤岡様が仰っていましたよね?発言には責任を持てと。神には人の法は適用されませんよ?そして」
空間操作を僕の背後に展開し、同時に聖域をその中に展開する。
【準備出来ました】
【せお:オッケー、見て驚くなよぉ?】
「祓戸の大神よ。そのお力で場を祓い浄め給え」
ドンッと一気に空気が吐き出され、神威が会場内に満ちる。
ほぼ全員が声にならない悲鳴を上げ、ガタガタガタッと椅子から転げ落ちる。
そして現れたのは一柱の神。
「我等への暴言、確かに聞いたぞ?」
もの凄い美女モードのせお姉様が現れた。
この時点で会場はパニックになり逃げることすら出来ずただただなすがままの状態となっていた。
「そして黄泉の神、母なる伊邪那美命…」
「神子よ。貴女の声に応えましょう。ただ、我等へのその暴言、死すら生ぬるいものと知れ」
伊邪那美お母さんがバッチリ決めてやってきた。
あと、神子の部分強調しないでくださいませんか?分かってますから。
「そして異界よりこの世界の神々を救うためにお越しいただいた大神様」
「…我等が神子への暴言は我等への暴言と知れ。本来我等は神々を救うために来たのであって人を救うために力を尽くしているのでは無い。神と神子のたっての頼みで職業やスキルという対抗手段の基盤を与えてやったのだ。それを否定したという事は…貴様等、全て剥奪されても文句は無いな?」
ニィィッッと好戦的な戦女神が光を纏いながら姿を現した。
ミツルギ姉様、蒼い甲冑姿凄く格好いいです。
【ミツ姉:見栄え重視で用意したの】
あっ、実は普通モードの姉さんだ。
「さて、三柱の神にお越し戴きましたので私はメッセンジャーの役目を終えました。さあ、質疑応答を存分にどうぞ」
そう言って僕は壁側へと下がった。
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