79話 TS化した僕はテレビに出るそうです

「テレビデビューの時間が決まったぞ!」

 課長言い方ァ!!

 ガタガタガタガタッッ!

「何時ですか!放送局は…関東内なら全部来るか。」

「録画予約しないと!」

「予約はネット経由で出来る俺勝ち組」

「貴様ぁぁぁぁっっ!後でデータ焼いてくださいっ!」

「…みんな、大切なことを忘れていないかな?」

「巽?」

「テレビ局員捕まえて後で映像寄越せと言っておけば万事解決だ」

『そ れ だ!』

 それ絶対やっちゃ駄目なやつぅぅぅ!



「午後三時からに決定しているが…海外メディアも多数参加する」

[あ、一つお願いがありまして]

「ん?何かあるのか?」

[僕だけ席を少し離していただいても…]

 関係者として、ではなく?

[メッセンジャーとしての外交官的な立ち位置でお願いします]

「あー…わかった。少し離すよう依頼しておこう」

[はいっ!]

「ああもう可愛いなぁ!」

【はは:うちのこかわいい】

 課長&伊邪那美お母さんェ…

「姫様」

 ん?

「朝は人目がありましたので…こちらを」

 そう言って巽さんから封筒が渡された。

[これは?]

「姫様名義の通帳とカードです。今後買い取った際、全てこちらに振り込むとのことです。ご安心ください、規定通り税金は買取金額から引かれておりません」

[え?待って。ませんって、ませんって!]

「姫様から税を取ろうだなんて言語道断ですが?」

「訳すと外交特権との合わせ技だ」

[……うわぁ、なんか他の納税している人に申し訳ない気持ちで一杯だぁ…]

「喜んでおけ」

 封筒を開け、通帳の残高を見る。

 即閉じ、封筒に入れた後にプライベートボックスへしまった。

 庶民が見る金額じゃ無い。

「少なくとも君のお兄さんはまだアイテムバッグを持っているのだろ?そのバッグに危険物を詰め込みまくっている…そんな庶民は存在しないぞ?」

 正論ですっ!



 念のために協会で修道女モードに着替え、課長の車を先頭に現場へと向かった。なんかもの凄く立派なホテルに到着したんですが?

 おっかなびっくり車を降りる。

「姫様。こちらへ」

 巽さんが僕をアシストしてホテルへと入る際、屈強な黒服のお兄さんが六名ほど素早く僕らの周辺に展開して護衛を始めた。

[うわぁ…貴人のSPさんみたいだ…]

「姫様。いい加減自覚してください。充分過ぎるほど貴人ですからね?」

[それはない(キッパリ)]

「…(姫様だと)分からせたいその表情…」

 そんなくだらないやりとりをしながら大広間へと到着する。

「こちらが会見場となります。ご依頼のとおり、向かって右隣少し離した場所にお席をご用意しております」

[ありがとうございます]

 会場責任者の方にお礼を言い、自分の席へと向かう。

 パパパンッ

 席に近付くと何かが連続して弾けた。

 音がしたと同時に黒服のお兄さん方が僕の周囲を守るように固まり、巽さんが会場責任者の人を睨み付ける。

「───これは、一体?」

「いいっ!?いえ、わたっ、私は何も!設営班は誰だ!?至急呼べ!」

 黒服のお兄さん達の背中を軽く叩き、課長やお偉いさん達のテーブルへと近付いたけど、何も反応は無い。

[あー…僕の所だけだったみたいですね]

「姫様!そのような危険な確認は!」

[大丈夫。僕のスキルと───二人とも、出てきて]

 タイムさんとフィラさんが虚空から姿を現す。

[この二人がスキルを突破するような輩を撃退するから]

 僕はそう言って笑って見せた。


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