988話 あの人また呪われてるぅ…
まあ、入口や建物内に部隊の人達がいるからアレが紛れ込むことは不可能だと思うけどそれはそれ。
「巽さん、2リットルのペットボトルのお水ありますか?」
「全員分のグラスと共にお持ち致します」
巽さんがそう言って退室する。
全員がジッとこっち見てるんですが…なに?
「お待たせ致しました」
巽さんは2リットルのミネラルウォーターと僕を合わせた全員分のグラスを持ってきた。
僕は徐に小さな容器を取り出す。
全員が一斉に顔色を変えたけど厳しいと言うほどではない。
僕も学習したのだ。
取り出したのは箱庭の水ではあるけど、スポイトがついた小さな容器だ。
500mlを取り出しただけでみんなに凄い反応されるのは分かっているからね。
ミネラルウォーターのキャップを開けて箱庭の水を1滴入れてキャップを締める。
そして軽く振って…うん。
超強力聖水になった。
半減期間は20日間だから問題は無いね。20日経ったら強力聖水になる程度かな?
「私が行いますので姫様はお席に」
「あ、はい」
巽さんが手慣れた手つきでグラスに水を注ぎ、全員に配ると僕の斜め後ろで立って待機する。
「…それでは始めたいと思うが、その前にこれを飲んだ方が良いのか?」
「そうですね。飲んだ方が良いと思います」
閣僚の人達全員が無言でグラスを見る。
磯部大臣がグラスを手に取るとクッと一気に飲んだ。
そんな覚悟するようなモノでもないんだけど?
それを見た他の人達も次々と意を決した感じで水を飲み…4名が口から黒い煙を吐いて机に突っ伏した。
「呪われていたり魔に分体をちょっとだけ送り込まれた方々なのでお気になさらず。2~3分でスッキリ起きます」
全員動揺してるぅ…なんで?まあ、総理がまた呪われていたから?
「今日来たのは協会からあげられた人の皮を被った魔物…擬人について何か対策がないかという事で来たんだが…実はここに入る際にSP2名が擬人と入れ替わっていることが分かった。入口で君の部隊員に止められてな…」
苦い顔をする一同。
昨日襲われた磯部大臣も同じ位苦々しい顔をしていた。
「これで身内が成り代わっていたりしたら…」
「あ、恐らくダンジョンに入ったことのある人がメインだと思います。しかもこの一月の間ですね」
「!?」
僕の台詞に全員がギョッとした顔をする。
「その、根拠はなんでしょうか」
「相手がこの計画を本格的にし始めたのがこの1~2週間くらいだからです。それ以前はダンジョンから出られませんでしたから」
「それは…ダンジョン側が狡猾になっていて神々を出し抜いていると?」
「出し抜いていると言うよりも、フィルターを無理に掛けると狐憑き系の術師や人と共存している妖怪にまで影響を及ぼしてしまうから難しかった…というのが正確なところでした」
言葉のニュアンスに気付いた方々が反応する。
「神様方が本日のお昼以降ですが、都市結界を改修してそれらに対応できるようにするとのことです」
「それはすぐに会見を───」
「会見をすると結界外に逃げるか、ダンジョンに逃げ込みますよ?」
一網打尽にはしたいけど、どれだけ居るのかが分からない。
この問題って、かなり怖いよね…
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