956話 協会パニック!


「「うわぁ…」」

「うわ怖ァ…」

 僕と巽さん、そして課長がその光景を見てどん引きしていた。

 カウンター手前に設置していたらしき募金箱(高さ1.1メートル、横80センチ、奥行き25センチの木製)がお金などの入れすぎでパンクしてしまっていた。

「軽く億越えてない?あれ」

「越えてます。絶対に越えてます。しかもカウンター内にお金が溢れているのに皆さん詰め込んで…帯封で…」


「巫女様に貢げないならこれくらいはな!」

「正しい推し事ですな!」

「推し活は心と体に良いだけでは無く善行まで行える!巫女様!ありがとう!」

「俺は800万だ!巫女にゃんこのような家族に少しでも笑顔になって貰うんだ!」


「姫様…どうするんですか?これ」

「いや、僕自身は関係ないし。推し活とか言ってるから善意の募金ですよね?」

 巽さんを上目遣いで見つめる。

「まぁ…姫様が可愛いから問題なしですね!」

「何がだ。ここががこんな調子だと今日から始まったネット募金とかも…」

「ネットはサーバーがダウンしていますよ?」

「やはりか…だと思った」

 課長が自信のスマートフォンで確認しながらため息を吐いた。

「凄いな。1時間程度で何億稼ぐ気だ?」

「いやそれ全部募金ですからね!?」

「あっ!巫女様だ!」

 あ、マズイ!見つかった!

 えっと、えっと…!

「皆さまのご協力ありがとうございます!この募金は少しでも多くの今苦しんでいる親子に届けさせて戴きます!」

 僕はそう言ってお辞儀をした。

 一瞬の静寂の後、

「巫女様はやっぱり聖者なんだ!」

「やっぱり巫女様は聖女で巫女様なんだよ!今すぐATMに行ってくる!」

「子ども達を悲しませない!保育園や幼稚園を共同経営する者はいないか!片親家庭を俺達の手で守るぞ!」

「俺出資する!そこそこ稼げてるから定期出資できるぞ!」

「私も出資しましょう!このご時世、何かできないかと考えていた情けない老人ですが…財はありますのでね」

 なんか凄いことになってるぅぅぅッ!

「姫…」

「岩崎…」

 僕が悪いの!?



「「うみゃい!」」

「~~~~!!!」

「伊邪那美様、落ち着いて、落ち着いて…」

「だってうみゃうみゃ言いながら食べているのですよ!?ああっ!おにぎり美味しいですかぁ?出来るならばばあばのおにぎりを食べて欲しいっ!」

「えっ?箱庭メンバーなら黄泉竈食ひ問題無いっすよ?あちらはそっちの管轄外ッスよね?」

「!!?」

 タイムの台詞に伊邪那美は衝撃を受けた。

「え…っ?では、食べられると?」

「あと、神域で作った物は普通に食べられるはずなんスけど?売店で売ってたッスよね?」

「あれ売っていたのですか!?というよりも買った人居たのですか!?」

 頼まれたからキッチンで適当に作った代物だっただけに、まさか売られているとは思ってもみなかった伊邪那美は衝撃を受けた。

「えっ?当日売り切れたって聞いたッスよ?」

「黄泉竈食ひ…ほとんどの人が知らずにお弁当と思って食べたってことでは…テロですよそれ…」

 首をかしげるタイムに何とも言えない顔をする伊邪那美だった。


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