957話 じゃしんさん保育園終了時間


 カウンターの職員が大急ぎで募金箱からお金を掻きだして奥のテーブルへと持っていく。

 そこで数人の職員がどこかから借りてきた紙幣カウンターで数えている。

 ただ、カウンター側ではまたどんどん投入されているんだけど…あれ、大丈夫じゃ無いよね?


 タイムアウト。お昼になったので僕は箱庭へと移動する。

「お帰りなさいませ友紀様」

 執事のお姉さんが出迎えてくれた。

「ただいまです」

 何かお帰りって言ってくれる人がいるのって良いよね。

 思わず笑顔で返すと執事のお姉さんが少し固まって、なんか照れた顔をした。

「…これが尊いという感情ですね。二度目ですがしっかりと記憶し記録しました」

 何を基準に尊いと言っているのかは分からないけど、きっと間違っていると思うんだよね、それ…

「他のメイドさん達は?」

「研修中です。私は廣瀬氏より直接指導を受けまして合格を頂きました」

 処理能力メインで色々仕込んでいるんだろうなぁ…

「屋敷の掃除も一通り終えておりますのでご安心を。ああ、我々メイド隊の住居は神兵方の住居裏に用意されておりますのでご安心ください」

 いつの間に…しかも裏?隣とかでは…隣は大聖堂だったね。

 ちょっと住居の方を見に行く。

「……明らかに20人以上住めそうな2階建て横長マンション…いやマンションと言って良いのかな?」

 高さは2階建てなのに横の幅が神兵さん達の家と大聖堂をあわせた2区画の長さなんですけどどうなっているんですかね?

 あと、神兵さん達の家が少し大きくなっている気がする…内部拡張されていたはずなのに。

 僕が気付かないうちに色々弄られている?



 配信前にじゃしんさん保育園に行ってマイヤやみいくん達を引き取りに行く。

 今日はハヴァスターイ様以外は箱庭メンバーなんですけど…

「迎えに来ました」

『『!!』』

 僕の声に反応したのはみいくんとみゆちゃんだった。

 目を輝かせて僕に抱きつく。

 そしてちーくんとマイヤもやってきた。

「おやつは食べた?」

『ゆなねぇねがたっくしゃんもってきちゃ!』

 興奮しすぎてちょっと言葉が怪しくなっているみゆの頭を撫でる。

 ハヴァスターイ様もやってきた。

「…食べたら止まらないサツマイモスティックってお菓子があるって聞いた」

 誰から聞いたのかなぁ?

「芋けんぴとかではなく?」

「国の崩壊を止めたサツマイモスティックがあるって」

 そんな恐ろしいサツマイモスティック…あるの?(白目)

「えっと、何方から聞いたのでしょうか」

「コメント欄」


『究極のお菓子は何かという質問に対しての1回答ッス!』

『巫女様おやつシリーズですな!』

『世界トレンドワードにものったサツマイモスティック!』

『巫女様ストライキの時ですわ』

『あの時世界中で芋スティックがあちこちの神殿に奉納されたらしい』

『奉納は良いから全力で祈れよ…』

『あの時の状況で祈っても命乞いだぞ!?感謝の奉納だったんだよ!』


 あの時のお芋スティックかぁ…

「では、お夕飯のデザートに作りますね」

「!!うん!」

 ハヴァスターイ様、目をキラキラさせてるぅ…


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