955話 乱入者、岩崎佑那&ジャンヌ
「課長!?泣いて…」
「…ああ。ちょっと、義理の弟のことをな…この動画を見て不意に思いだしたんだ」
ぇえー?
じゃしんさん保育園の影響が…あっ、内線。
『手の空いている職員はカウンターのヘルプお願いします!募金依頼が殺到中です!繰り返します!カウンターヘルプお願いしますっ!』
───あっ、きっとうちの子達が原因だ。何かごめんなさいっ!
「やあやあ!皆の衆!お菓子持ってきたよ!」
「チョコレートやエクレア、プチシュークリームもありますよー」
じゃしんさん保育園に佑那とジャンヌが乱入したのはお昼前のことだった。
ビックリして固まる巫女にゃんこ達の前スルリと立って庇おうとするちーに佑那が苦笑する。
「その反応はちょっと予想外なんだけど…」
「いや、その入り方だからその反応だと思いますよ?」
「この配信のせいで授業潰れたんだけど?みんながお菓子持って行けって私にドカドカ渡してきたんだけど?」
「そして私が呼ばれましたね!」
『あの、妹様。お昼前なのでお菓子は申し訳ありませんが…』
みやが申し訳なさそうに断りを入れてくる。
「それは勿論です。食後のデザートにということで」
佑那はそう言いながらみや達保母役三人にお菓子をどんどん渡していく。
ジャンヌもそれを見て佑那から持たされた物を渡していく。
『わぁ!』
「凄い」
「ごはんのあとでたべよ?」
『『うんっ!』』
「普通のやりとりのはずなのに尊く見えるのは私が汚れているからかな…」
ボソリと呟く佑那にジャンヌが首をかしげる。
「そんな事よりお願いしないといけないことがあったのでは?」
「ああっ!そうだった!みんなにこのお菓子をくれたおにーさんおねーさんから言って欲しい言葉があるんだって」
「「『『『??』』』」」
全員が首をかしげる。
「お仕事やお勉強頑張って!って言って欲しいらしいよ?」
『?沢山がんばりすぎたらたおれちゃうよ?』
マイヤが不思議そうな顔で佑那に聞く。
「まあ、倒れない程度に頑張れって気持ちを込めて言ったら良いと思うなぁ」
ちびっ子達みんなで話し合いが始まった。
話し合うこと数十秒で話がまとまり佑那の前に全員が立つ。
「言う」
代表してハヴァスターイがそう宣言すると佑那はカメラをちびっ子達の前に置く。
「せーの」
「「『『『おにーさんおねーさんおしごと、おべんきょうがんばってください!』』』」」
『 』
『 』
『 』
『俺、頑張るよ』
『推し事頑張る』
『ああ、頑張る!無理しないギリギリかつ最大効率で頑張る!』
『お仕事(化け物退治)頑張る!』
『お仕事(一般事務)頑張る!』
『お仕事(政務)頑張る!』
『最後のやつ仕事しろ』
『倒れるまでしろ。倒れた後もしろ』
『みんなが辛辣ゥ!』
「今日のお昼ご飯はおにぎりパーティーッスよ!」
お菓子を片付けたタイムがそう宣言するとちびっ子達が大はしゃぎで手を洗いに向かう。
『…この様な光景が見られるとは思いませんでした』
「こんな平和な光景が当たり前と思える日常は、いつ来るのでしょうか」
「少なくともそれはこの世界の人間がすることッス。既にご主人や兄者はその範疇を超えているのでそれ以外の人間が頑張らなきゃいけないッスよ」
保母役の三人がしんみりと語り合う中、
「タイムさん私は?」
佑那がタイムの台詞にツッコミを入れてきた。
「……少なくともそれはこの世界の人間がすることッス。既にご主人や兄者はその範疇を超えているのでそれ以外の人間が頑張らなきゃいけないッスよ」
「何で言い直さず同じ台詞言うの!?私は!?」
「隊長はまだまだって事ですよ。良かったじゃ無いですか人間判定で」
「兄妹で私だけ仲間外れはいやなの!」
「お腹すいているから気が立っているんスね?」
『佑那さん。おにぎりは最大でも10個までですよ?』
「3人で作ったから沢山ありますよ…ああ、具材は6種類あるから期待して欲しいですね」
駄々をこねる佑那に揶揄いながらそう言うと3人はテーブルの用意を始めた。
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