954話 はいぱぁじゃしんさん保育園


『……』

 みゆは不安そうにみいの袖をギュッと握りしめていた。

『母たまもみぃもいっしょ。だからだいじょうぶ』

 みいはそう言ってみゆを抱きしめる。

『にぃたまといっしょ…こぁくない』

 抱きしめられながらみゆはそう呟き、頷いた。


 じゃしんさん保育園は朝8時30分あたりから第2スタジオを改造してなんとなく始まる。

 8割はハヴァスターイとマイヤの遊び場であり公園として利用…するつもりだったが、幼児率が高い(中身は大人どころの話ではないが)ためじゃしんさん保育園と銘打って行動を制限する事にした…のに、とんでもない事となっていた。

 今日遊んでいるのはハヴァスターイとマイヤ、みい、みゆ、ちーの5名。

 保母さん代わりはみやと佐那、そしてタイムの3名。

 見学者はニコニコ顔の伊邪那美命や天之御中主だった。

 みゆは殆ど知っている人しかいないということで安心して周りをキョロキョロと見ていたが、みゆと同じ位大きく白いボールに目が行った。

『にぃたま!あれ!』

 目を輝かせて白いボールを指さすみゆにみいはくすりと笑い、みゆの手を引いてそのボールの元へと向かった。

『ふわぁ!』

 ボールに抱きついたみゆはその柔らかさに驚き、そして簡単に持ち上げられてすぐに動くことに驚いた。

『ふわぁ!わぁ!』

 目を輝かせてボールを持って歩き出す。

 と、

『あぅっ!?』

 持つ手とボールに気を取られすぎて躓いた。

『みゆ!?』

 側に居たみいが咄嗟に抱きしめて倒れるのを防ぐ。

 軽く跳ねた後にコロコロ転がっていくボールを残念そうに見送り、みゆはみいの方を見る。

『にぃたま、ありがと!』

『どういたしまして』

 二人は嬉しそうに笑い合う。

「はい、ぼーる!」

 そこへちーが転がっていったボールを持ってきて渡し、三人仲良くボールで遊び始めた。


「うちの孫達が尊すぎるんですけど…」

「穢れの無いと言うかなんというか…あの子がベースだから尊いとしか言いようが無いねぇ」


『安心安全な遊具を送りたい!』

『弊社の安全オモチャをそちらに送りたいのですが…ロゴは消しますので!是非!』

『尊すぎて祈ってしまった。序でに近くの神社にお賽銭入れました』

『投げ銭を正しく使ってくれそうな神社へ寄附してきた』

『どうしてかな?涙が止まらないんだ』

『やっと会えた兄妹?だからね。この子達に幸あれ』

『マイヤちゃん側も尊い事しているし…このチャンネル尊死とピュア死特化過ぎ』

『スマン。妹のこと思いだした。今から自首する』

『教会に寄付しに行ったらそこの神父が泣きながら神に祈っていたんだが…』

『それ職業エセ神父なんやろなぁ…』

『何この強制改心チャンネル…私財産の半分寄附したいんだけどどこが良い?』

『なんか協会本部カウンターに孤児や片親家庭への支援をってBOXがある!』

『すぐ行く!』

『HPにモンスター災害義援金のページが出来てる!』

『ええい!各200万ずつ入れるぞ!』

『Nice!』


 協会本部のカウンターがパンクするのと協会が契約しているサーバーが落ちるまであと30分───


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