953話 じゃしんさん保育園(月曜~金曜9:00~14:00)


おはようございます。

僕の両サイド、同じ顔。みやさんが左で、リムネーが右。そして胸の上には小さなマイヤが寝ている。

あとね、両サイドの二人が僕の腕をホールドしているのですよ。どうやって逃げれば良いんだろう…


トン、トン、トン、トン、トン…

リズミカルではなくしっかりと切っている音。

チャッチャッチャッ…

お味噌をおたまですくい取ってお味噌汁に溶き入れる音。

お味噌汁の香りが辺りに漂う中、お釜から軽く吹き出した蒸気によるご飯の香りも混ざってえもいわれぬ香りとなる。

「朝食はご飯と、ネギとワカメ、豆腐のお味噌汁。あとは 浅漬けと目玉焼きと、鮭の切り身…基本の朝食がとても美味しそうですよ」

僕が頷くとみやさんが少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。

「ありがとうございます。私もそちらを手伝えたら良いのですが…」

「僕が作る量は慣れちゃダメ。絶対」

一歩間違えば作業になってしまうから。

みいくん達が居間の方からジッとこちらを…佑那まで。

「みやさんは箱庭の方々のご飯の用意を。僕は神様方へお出ししてきますので」

「はい」

みやさんがこちらの配膳を始める中、僕は神域へと向かった。


ゆる姉様とせお姉様はまだちょっと喧嘩しているようなので配膳を後回しにし、最後に豆腐を…ああ、仲良くなったんですか。急ですね?戯れていただけと…

仲直りしたようなので普通に朝食を出して箱庭へと戻る。

「今日は普通に出勤するのでご飯食べたらすぐに出ますね」

「「にゃうっ…」」

みいくんとみゆちゃんがケモ耳をぺたんと閉じてションボリしている。

ごめんなぁ…じゃしんさん保育園に預けるしかないんだ…

保母さんとして新たにみやさんが加入したのですっごい破壊力だと思うけど。

…一応、良識派の神兵さん方も監視してくれる予定だからきっと大丈夫!

そう自分に言い聞かせながら食事を終え、出勤準備を始めた。



───仕事が手につかない状態に陥っている件について。


いや僕じゃないよ?

ほとんどの人が大型モニターや自身のPCモニターに釘付けだった。

本当に仕事しようよ…

9時から始まったじゃしんさん保育園をみているわけで…

数人は電話を取ったり、仕事をしながら見ていたりと、いや全員みているわこれ。

僕は…みないで普通に仕事をしています。

課長も見ないで仕事をしているようだけど…ソワソワしている。

分からなくも無い。

さっきからあちらこちらで「ああっ!尊い!」とか「ママァ!」とか「背伸びしてお姉ちゃんって…」とか色々聞こえてくる。

ママ言うた奴ァ誰だ!リムネーの事かな?みやさんの事かな?

うちの子達はまだ未婚ですよ!

みやさんは子ども2人居るけど…うん。ママだね。反省。


始業開始から1時間半経過。

課長陥落。

多分今日西脇さんが居たら騒がしかったと思うけど…居ないのでまだマシレベル。

仕事しろと言いたいところだけど、昼食前のおうたの時間になったようなので黙って仕事をしておこう。

あの子達のおうたをBGMに仕事が出来るって幸せだよね!…と親馬鹿状態になりながら区切りの良いところまで頑張って仕事を終わらせよう。


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