590話 飯テロと、自虐?紹介
佑那が買い物袋を掲げながら走ってきたので僕は入ってくるようにとジェスチャーする。
『姫様どした?』
『お客さんかな?にしてはなんか回ってくるようにって?』
『でもなんか神様ではないっぽいよね』
勘の良いリスナーがいますねぇ?
ガチャリと扉が開き、佑那達が入ってきた。
「兄さんご飯食べてないと思って買ってきました!」
「買って参りました!」
「…えっと…どうぞお召し上がりください」
うわ、巽さん陽の者二人に振り回されて困惑しているぅ…
と言うわけで急遽飯テロ配信になりました。
『巫女様食べてなかったんかい!』
『これだから社畜は』
『社畜巫女(男)』
『属性多スギィ!』
『ホント、配信が生存確認レベルでしかも協会許可とか…』
『そうしないとこの巫女様仕事のあとに夕飯作って配信してと恐ろしいから…』
『仕事しないと朝からずっと配信しかねない子だから…』
クロワッサン、キッシュ、ケーキ、サンドウィッチ…うん。ちょっとお高そうな物が沢山ある。
「コーヒーもココアとあります!」
「ジャンヌさんおすすめはココアだそうです」
あ、はい…名前、普通に出すんだ…コメント欄も『えっ?』ってなってるし。
まあ、名前は結構皆さん言ってますし、同名の別人ということもありますし?
「ありがとうジャンヌさん。えっと、じゃあ、ココアをいただきますね」
「はいっ!」
うわ、イイ笑顔。
「中目黒と言う所を回ったんですけど、川の近くで石の人?が人を追いかけていたので倒しちゃいました!」
「地蔵に化けていたのは化け狸でしたが、幻覚等ではなく完全な変化でした」
ジャンヌさんは褒めて!と言った顔で報告をし、巽さんが補足を入れる。
「ジャンヌさん、ありがとう」
「はい!」
『なんか、凄い良い子過ぎん?』
『忠犬?』
『でも化け狸倒せるんやで?』
『妖怪って、簡単に倒せるの?』
『無理無理!』
『昼過ぎに目黒側付近で妖怪が出たって情報が入ってるぞ』
『襲われたのはロケ班らしい。女優さんが襲われたっぽい』
『ご都合主義な!』
『いや、あの場所と時間的に偶にあるぞ?』
「兄さん兄さん。私が対応しておくので兄さんは食べてください」
「あ、じゃあいただきます」
僕はサンドウィッチを一口。
うん。美味しいけど…素材をもうワンランク上げられたら…勿体ない。
「じゃあ兄さんが食べている間、私達が質問受け付けます」
佑那の台詞と共にコメント欄がもの凄いスピードで流れる。
「えっ?妖怪?朝ちょっと無理言って協会の巡回に同行したんですけど、鬼を2体倒しました。でも、倒して危険な物を回収してもらおうとしたら警察の注意を無視して学生がそれを取りに駆けていって倒れてましたね」
「まだ結界の中には戻れていないらしい。警察官が2名貼り付いているようです」
あ、このキッシュおいしい。
「えっと、ジャンヌと言う名前だけに聖女職ですか?って」
「私の職は神兵です。焼かれた時は罪人でしたし!」
「おぉう…」
「……ジャンヌ様…それは…」
「罪人として焼かれて死んだのですから死後復権云々言ってもただのパフォーマンスですよ?ミカエル様にも確認を取りましたが、判決下した方々を死後全て地獄に落としたようですし」
「「うわぁ……」」
「フランスを安定化させた後に疫病を広めた悪魔を包囲し駆逐せよと力まで与えられていたのですが…依頼は果たせませんでした」
このクロワッサン美味しいぞ?材料に拘ってる!せめてサンドウィッチの方にも少しは…
『無言で頷きながら食べる巫女様と横で絨毯爆撃している元聖女さまの温度差ァ…』
『本物が普通に降臨しているって何なの!?』
『普通なら釣りとか言うけど、巫女様の配信、普通に神様来るからなぁ』
『ガチ神の声だったんか…しかもそれをペテン扱いしたと』
『うわぁ…これ、両国の方々息してる?』
『無理やろ…無理ゲー過ぎるやろ』
「無理ゲー過ぎでしたね!結果その後も疫病含め混乱が続いて300年ほど悪魔に教会の一部や貴族の方々が乗っ取られていましたし」
「ジャンヌ様、そこまでで!そこまででお願い致します!」
「もうちょっとガツンと言っても良いと思うけどなぁ…」
「えっ?ガツンと、ですか?」
「「あっ、天然さんだ…」」
クロワッサンとココアが美味しいなぁ…
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