591話 掬えるモノと、救えない者
「ごちそうさまでした」
何とか食べきれた。もうお腹いっぱいだよ…
「あのケーキはジャンヌさんおすすめかな?」
「わぁ!どうして分かったんですか!?」
凄い嬉しそうなジャンヌさん。
「佑那は抹茶系を僕に勧めないかなってね。巽さんは全種類とか言い出しそうだし」
「私、抹茶とココアが好きになりました!」
『聖女と巫女が尊すぎるんだが?』
『あんなに絨毯爆撃していたのに』
『無差別の爆撃で草生えない』
『無差別尊死兵器×無差別暗黒歴史断罪装置=大量尊死』
『何が言いたいのか分からないですね』
「質問が多いですね…んっ?」
『今もまだ結界内に入れない学生を可哀相とは思わないのですか?』
「ん~?…巽さん。今結界内に入れない学生さんって、何歳?」
「確か17歳だったかと」
「分別のある年齢だよね」
「まあ、そうですね」
「そんな分別のある歳の人が直前まで鬼が居て尚且つ警察含め注意を受けているのに無視して行った行為ですよね?」
「そう、ですね」
「今も警察官2人が待機しているんですよね?2人分の人件費を税金という形で消費しつつ」
「……」
「場合によってはその警察官が身を挺して現れた妖怪やモンスターから身を守ったりするんですよね?」
「…市民を守る必要がありますから」
「でもその警察官2人の警邏等しなかった結果問題が発生したらどうするんですかね…今警察はかなりカツカツだと聞いていますが」
「恐らくは周辺からの応援を依頼するかと思います」
「何らかの理由があって仕方なくなら分かるんですけど」
「罰ゲームだったそうですよ。本人もノリノリで動画に撮るようにと…」
「…いや、これ僕にどうしろと?結界のシステムこの1人のために切ってもいい?」
「それだけは絶対に辞めてください。下手をするとあの学生は性根と障気適合してしまっている可能性もありますので」
「まあ、お近くの聖職者にお願いして聖光を掛けてもらいながら結界には入れるか確認ですかね…聖光掛けてその学生さんの体に異変が起きたら…ご愁傷様という事で」
「食後すぐに毒を吐く姫様…良い」
巽さん…僕の事を巫女様と言ったり姫様と言ったり忙しいねぇ…
『ツンツン巫女様良い』
『正論パンチは痛かろう』
『自ら軽い気持ちで人様の者を取ろうとするから悪い』
『そんな!貴方は巫女の資格は無い!』
『関係者?泥棒の?危険だからって注意しているのに無視するのに?』
「───と言うよりも、僕が問題にしているのはほんの数秒から十数秒だけ障気に晒されただけなのに結界から弾かれているという事実が怖いんですが」
「と、言いますと?」
「元より性根がそっちよりだったのか、それとも何かに憑依されていたのか、それとも…その学生は入れ替わっていないか」
「!?」
僕の台詞に巽さんの顔面が蒼白になる。
「急ぎ現場警官に連絡します!」
慌ててスタジオを出る巽さん。
そしてコメント欄が騒がしくなる。
「えっと、兄さん?」
「憑依どころか、妖怪に喰われて擬態している可能性だよ」
「え」
「そう言う可能性も…悪魔がしていた手段じゃないですか!」
「えっ!?」
「まあ、完全に食い尽くされているわけでは無いと思うんだけど…もしそうなら結界内で普通に動けないだろうし。
協会本部にいる重装救命官のチェックゲートをくぐれなければ内部に障気が巣くっているだろうね…もうすぐ審議の石板が完全復旧するから…その時どうなることか」
僕は小さくため息を吐いた。
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