589話 配信と、注意喚起


 提出も終わったので帰りますと一言声を掛けて箱庭へ移動する。

 そしてふと思う。

 僕、何も食べていない?と。

 お腹空いてないからいいや。さて、配信するかぁ…


「皆さんいかがお過ごしでしょうか」


『巫女様降臨!』

『東京で鬼が出たって騒ぎになってましたけど!』

『鬼ってスウェーデンのモンスターで言うとどの立ち位置?』

『トロールやオーガだろうな。人喰いで人型の大きな化け物』

『オーガ』

『トロールは鬼の頭領とか大鬼って感じかな』

『何でや。トロルは小さいだろ』

『トロルの地域格差が恐ろしい』


「鬼の話が出ましたので一応ご報告。鬼は合計2体出たそうですけど退治されたとのことです。妖怪やダンジョンモンスターには絶対に近付かず、警察官や避難誘導者の指示に従って避難してください。

 間違っても撮影しようとしたり、ふざけたりしないでくださいね?

 あと、退治された後に相手が落としたものに関しては横から取るような行為は窃盗よりも重い罪に問われますし、何よりも中級以上の相手が残した物は呪いや怨念等が残っている可能性が非常に高いので気を付けてください」


『えっ!?危険物あるの!?』

『経験したことあります。宝石拾った後から急に人が変わったとか言われた』

『怖っ!』

『もしかして乗っ取りとかもあり得る?』

『中層のモンスターからも偶に呪物出てくるからマジで気を付けろ』


「心当たりのある方はお近くの信頼できる聖職者もしくは神職者、探索者協会またはそれに準ずる政府機関へお問い合わせください」


『情報感謝です!』

『もっと早く知りたかった…奥さんの人が変わってしまって離婚した』

『今からでも遅くないから教会に連れて行け?』

『数年前に発電所からモンスターが現れたのもそれかな?』

『魔水晶の件か。あれは怖い事故だったな』

『どこの事故?』

『知らないか?都市一つ壊滅したんだが』

『あの事故以降エネルギー施設には必ず3名以上の聖職者系を置く決まりだぞ?』


「妖怪がやたら弱かったりした場合は落とした物や遺物は呪具の可能性が非常に高いので気を付けてください。

 強い挙げ句倒されたフリをして呪具の中に隠れ、その呪具の中から対象を操ったり食い殺すと言うことをする場合もありますが」


『なにそれ怖い』

『巫女様もしかして経験した?』

『そんな危険物日本にあったの!?』

『いや待って?協会は呪具受付していないよね?』

『中務省公式:前協会長が独断で呪具受付を行っておりました。それらの対処は特務課課長及び巫女様に投げられていたとの話です』

『ちょ!?』

『法律違反ですやんw』

『中務省公式:尚、内部には口頭で許可を得たと通達し、一部の上位探索者には公表せぬようにと言いながら偽造許可証を見せていた事実が裁判で明らかになりました』

『ファーwww』

『何でそんな大事報道されてないの?』

『メディア側にもその前協会長から金が流れているんだろ』

『調べたら巫女様が有名になる前に其奴捕まっているな』

『ろくでもねぇ…』


「因みに、緊急時には呪物に対して解呪もしくは破魔等の対処は合法ですが、相手の力が大きい場合はほぼ確実に相手を怒らせて取り殺されますので注意してください」


『えっ?』

『巫女様、何で無事なの?』

『もしかしてそんな危険物をずっと払い続けていたから巫女様認定受けた?』

『いやいや一応関係者として言うけど、自衛隊含め呪物は爆破処理か封印だから!』

『関係者キター!』

『いや、諸外国も基本分かった時点で爆破処理ですね。しかも数個単位で』

『そう言う意味では巫女様のあのステッカーは助かりました』

『ステッカーをそういう風に使う人居るんか!』

『もったいねぇ!』

『うるせぇ!爆破しても無傷の危険物だったんだよ!』


「みんな喧嘩しないで…んっ?」

 エレベーターが開き、巽さん達がやってきた。


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