736話 官邸で駆ける
「ただいまーッス!」
あっ、タイムさんが帰ってきた。
「お帰りなさい。ハヴァスターイ様は大丈夫?無事見つかったの?」
「一緒にアメ横行って駄菓子やチョコレートを大人買いしてきたッス!」
そっかぁ……えっ?
「待って?何でアメ横?というか、単独で出回れたって事!?」
「あんなんでも世界創造の主神ッスよ?普段働いたら負けとか言っていてもやる時はやる神ッス!」
「そのやる時がアメ横とか…このままだと菓子屋横町とか遠征に行きそうだよね」
神様方本能に忠実すぎない?
あっ、タイムさんにお小遣い追加で渡しておかないと…
SIDE:官邸
「お前が居てくれて本当に助かった!」
「世界の危機とか笑えんぞ…それに神がホイホイ歩き回れるなんて恐怖以外の何ものでも無いぞ」
デモの情報が入り、磯部大臣とその子飼い部隊の一部が近くで待機していたが、途轍もない神威を感じたため大臣自らが突入したというのが真相だった。
「死ぬかと、本当に死ぬかと思った」
車に乗り込んだあと幼女姿になった自称邪神はその後本当にアメ横へ行き菓子屋2軒ハシゴして大量に菓子等を買い込んだ。
満足してもらい、マンションまで送り届けて官邸へとやってきたのだ。
「俺らの部隊が居ることを分かっていてちょっかい序での忠告に来たって感じだった…いや、アレは忠告ではなく警告だな。次はないという警告だ。でなければ神自らが態々出向く理由が分からん」
磯部大臣は大きなため息を吐く。
「およそ千人が汚物まみれの大惨事だ…これで邪神を倒せなんて馬鹿なことを言い出す馬鹿な奴等が出て来たらどうする?」
ジロリと総理を見る浅野。
「如何なる手段を用いても即逮捕拘留ですよ。探索業務法第4条1項と3項までを拡大解釈して捕まえます」
「4条1項…超常生命体に対する対応だったか?あとは3項…雛入道妨害に関する条項だな。ただ残念ながら憲法第二十一条の方が優先されるぞ」
「人に対して法は有効ですが神々に対してはそうではない。グダグダ結論を先延ばしにした結果国が滅んでは意味が無いのですよ」
ハッキリと言い切った総理に浅野は引き締まった表情で頷く。
「分かった。あの件とあわせて話を上げよう。軽く脅しも入れておくか」
「その辺りはお任せします」
「……国内外問題だらけだ。時間内では終わらんぞ、これ」
浅野はため息を吐きながら立ち上がると、部屋を後にした。
残った磯部総理とその甥である磯部大臣。
二人は同時にため息を吐いた。
「頼むから俺に神様案件を回さないでくれよ」
「俺らが回さなくても勝手にやってくるだろ。運命と思って諦めてくれ」
「…殴りてぇ…」
「お?殴るか?怪我を理由にまた病院に引き籠もるぞ?」
「最低だな!?まあ、幸い外に回復職を待機させている。6~7発殴っても回復できるだろ」
「はっはっはっ…済まなかった」
「マジで頼むぞ?ここのところ部隊の連中との移動が一番心落ち着くとかバグってきてるんだからな?」
「……なんかスマン」
結構精神的に追い詰められている甥にお頭の上がらない磯部総理だった。
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