383話 聞いてみた&判明した
「ああ、トラップスキルだな」
「え?なんて?」
屋敷に来た兄さんに事情を話しての開口一番が「トラップスキル」だった。
そしてその後ろで顔を真っ赤にしながら僕達を見ている石長比売様。大丈夫?ここのところずっとそんな感じですけど…
「まあ、トラップスキルというのは言い過ぎだが、破格の性能を持つ代わりに運用がシビアだったり、かなりの制限が掛かるスキルを言う。
今回はその両方…と言いた恐らく神格による制限緩和が入っているだろうな」
兄さんは紙に書き出した【救命師団召喚】コスト(0/10000)の部分をトントンと指先で叩く。
「恐らく本来は【救命士団召喚】で、コストは500位だろう。そして兵種も3~4種止まりだ。それでも破格だな。何せ最大で救命士500名…バランス良く2部隊に分けるのが通常運用方法だろう」
「2部隊…」
僕の場合は、どんな運用方法が良いんだろう…
「兄さん。僕の場合は…」
「聞いたらいいだろ」
「えっ?」
「トラップスキルと言っただろ?答えはスキル自身が持っている」
「ええっ?」
「運用の専門がいるだろうが。司令武官という…」
そ の 手 が あ っ た か!
早速呼んで…あ、庭先で呼ぼう。畳間を土足で立たれたら泣けるから。
「お呼びでしょうか!」
カツン、とかかとをあわせ見事な敬礼をした女性が姿を現した。
兄さんより少し低い位の身長でスレンダーではあるけれど、制服を着ていても分かる位鍛えられた綺麗な体をしている。なんか佑那が闘いたがりそうな武人感がある。
「えっと、初めまして。僕は岩崎友紀と言います」
挨拶は大事。
「岩崎様!私は救命師団の司令の任を受けた武官であります!階級としては准将から少将位と認識していただければ幸いです!」
階級を聞いた兄さんが反応した。
「ふむ…最適な運用人数は?」
「およそ6000名です!」
「師団長クラスか…現在部隊編成を考えているが、詳細が分からない。資料もしくは説明が欲しいのだが…頼めるか?」
「こちらを」
そう言って司令武官さんはファイルを差し出してきた。
「……思った通りだ。とんでもないトラップスキルだぞこれは」
ファイルを受け取った兄さんはそのファイルを開いて一瞬顔を顰めた。
「えっ?兄さん?」
どういう事かと兄さんの方を見る。
「救命本部通信士以降が新たに追加されたと思うが、最低2部隊、通常運用は3~4部隊を想定して構成されている」
「えっ!?」
「最適な運用人数が6000人。現場で指揮を執った際他所から合流してきた部隊を編入や医療救助した場合は場合によってはキャパシティーオーバーとなるぞ」
そんなにシビアなの!?…て最大では無く最適なのか。
「あとは…救命本部通信士の項目に『本部へ支援物資の調達等依頼可能』とあるわけだが…本部が無ければ通信士の意味はなく、更に本部に支援物資調達官や支援物資が無くても無用となるな」
うわぁ…
「支援物資調達官は…1日40人分の医療等支援物資を調達可能…これもスキルに記載は無かったな。100人分を転送できるとはあったが。医療拠点士官は…おいおい」
「どうしたの?」
「医療拠点士官は1人の場合は医療用大型テントと12名分の簡易寝台とあるが、2人以上の場合はどうなんだ?」
「2名であれば簡易拠点を形成し29名収容可能です。救急機甲医官1名いた場合は簡易医療防衛拠点として61名収容可能。
3名以上と救急機甲医官1名以上で医療防衛拠点として245名以上の収容が可能となります!」
「うわぁ…」
収容人数が跳ねてるぅ…
「更に言うと、支援物資調達官は医療等だからな?医療品だけでは無く食料や防衛に必要な軍事物資も含まれるぞ?」
「うわぁぁぁ……」
「此処に本部を設置して支援物資調達官に毎日支援物資の調達と保管をさせないと大変な事になっていたな」
兄さんがため息交じりにそう呟く。
これ詳細確認しないと絶対駄目なやつぅぅ!
「屋敷の隣に本部創らせて民生品の木箱を置くか?」
「これ絶対そうしろって神様方の指示だよね…」
僕は頭を抱えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます