515話 先手、配信阿鼻叫喚 後手、大臣到着(グロッキー)

 SIDE:祓戸


「ここまで愚かとは…少し想像を働かせればゆうくんがそう言い出すのは分かっておったろうに」

 そう呟く祓戸にコメント欄が怒濤の如く動き出す。


【巫女様を是非我が国に!】

【巫女様行かないで!?】

【誰だよあんな質問したヤツ!】

【読買新報社の記者だな。なんかスマホ見ながら質問していたから会社の指示だろ】

【おいおい…そこってお国ダイスキーな所じゃなかったか?】

【巫女様!うちなら土地もたくさんあります!】

【あれ?なんかやったいました?】

【やらかしが酷すぎだろぉぉぉ!】

【せめて善行ポイント70以上の人だけを救出するとかお願い出来ませんかねぇ?】

【おっ?助かる気か?】

【いや?ワイ59。嫁と息子と母が70~72】

【お前…】


「…いっそ公海上に島を造って神国を本気で作ろうかのう…そうすれば何人も邪魔は出来ぬしな…人が9割滅びても獣達は居るわけだし、最悪は回避出来るな。元より信仰は離れておるし問題無い気がしてきたぞ?」

 祓戸の呟きにコメント欄の悲鳴が加速するのだった。



 SIDE:スタジオ(会見場)


 何名かがスマートフォンを取りだして見ている。

 ───なんか、顔面蒼白な挙げ句手が震えているんですが?

「あのっ、巫女様、先程の質問に関してでしゅがっ」

 噛み噛みな挙げ句、目が泳ぎまくって溺れているんですけど?涙目って意味で。

「?はい。なんでしょうか」

「いえっ!あの、権力が集中しているのではないかというだったのですが…」

「?はい。先程の話の中で論点がずれていましたでしょうか」

 僕が首をかしげると記者さんが慌てて首を振る。

「あっ、いえ!あの…要は外交特権に関しては必要に駆られてと言うことだということと、神様方の後押しによって仕方なく権力を…」

「?僕権力なんて要らないですよ?それを使って何かした事って…僕個人ではないですよ?なんならすぐにでも返上しても良いですし」

「神々と直接的かつ真っ直ぐ伝えられるのは巫女様以外いらっしゃいませんので…国が出せる最大限の報酬かつ軛のようなもの…でしたが、

 巫女様がここまで身を削ってもそれを世論が当然となった場合、私達は巫女様の慈悲にお縋りするしかなかっただけに、巫女様を止める術はありません。

 海外渡航禁止等に関しても巫女様に至っては神々の力で連れ出しをされた場合どうしようもないですし、そんな事を命令した日には神々の怒りを買う可能性もありますので…」

 おお、今日は伊都子さんが頑張って喋ってるぅ。

「…因みにですが、中務省と総務省、防衛省の試算の結果、もし巫女様が国から離れる。もしくは巫女様が一切協力を拒んだ場合、最短2ヶ月で自衛隊は壊滅します。

 そして半年以内に日本という国は終わります」

 えっ?いや、そこまでマズイの!?

 ビックリして伊都子さんを見る。

「恐らく巫女様が本当に嫌がるレベルの問題が起きた場合、神々が助けを拒否する可能性もありますので最悪を想定した場合、ですが」

 そう締めくくった伊都子さんは息を吐く。

 そんな中、扉が開いた。

「───スマン、遅れた」

 いや磯部さんどれだけ飲まされたんですか…かなり、臭いますよ?


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