172話 買込~お酒とおつまみしか買っていませんが…

「…二件目も数十本…一件目より買ったな」

「あっという間にお店の2~3割は買ったんじゃないかな?」

[まあ、売上に貢献していると言うことで]

 そんな会話をしながら駅前に戻ると、巽さんだけが残っていた。

[あれ?巽さんの本家の方々は?]

「本家と言っても末席の方々でしたが…姫様が買い出しに行かれた直後に本家の特殊部隊が連れて行きました」

 特殊部隊て…特殊部隊ってなに?

「時間の無駄だった訳か…」

「クレームものね。業務妨害を受けたと報告をあげておくわ」

 管理職二人がイイエガオだ…

「一応、改めてお詫びに伺います…と言伝がありました」

「金は要らない。美味しい食べ物と酒を寄越せ」

「そうね。あと神様用で同じ物を10セットほどとか?」

[10で足りると良いけど…]

「……怖くて聞かなかったけど、岩崎君の所にいる神様って、何名ほど?」

[常時神域におられる神様は八名で、たまに乱入してくる神様が二名、神様ではありませんが僕の護衛が二名です]

「………ぇえー?」

 部長にドン引きされた。

「増えてないか?」

「増えましたね…」

[大宜都比売様が復活しましたから…あ!]

「どうした!?」

[そういう事か!やっぱり八坂神社は行ったら大変な事になります!]

「……大宜都比売、須佐之男命が斬り殺した神か」

「死んでいなかった!?」

[黄泉の国で匿っていたそうですよ。黄泉戸喫する必要の無い神だから問題無かったそうです]

「となると、須佐之男命は娘?を殺した敵か…」

「あー…娘?阿波国!?」

 部長が何か調べながら驚いた声を上げた。

[阿波?粟?]

「姫様。ここで長居するのも人の目が…」

[ああ。ありがとう巽さん]

「食事をしてから、回った方が良いわね」

「ついでに神様用の酒も買い足すんだよな?」

[そうですね…僕は詳しく知らないので良いと言われたお酒を買い足していくだけですが]

「いくら分買われたのですか?」

[2店舗回って合計で38万円くらいですか…]

「あのお店一軒にも満たないのですか…」

[そう考えるとあのお店凄いよね…種類も量も]

「そんな凄い店が近場にあるのか…」

「是非行ってみたいわね」

 これであのお店の顧客が増えた!うん!売上貢献に期待!



 ………疲れた。精神的に。

 神社二箇所と京都御所を見学して、合間合間に酒屋さん巡ってホテルにチェックイン。

 歩いて分かる京都の怖さ。

 神仏の圧が…だいたいは弱っているけど、一部の神様側からこっち来いオーラが凄かった。

 部屋に入り、すぐに空間を操作する。

 部屋の中、半径三メートルが…あれ?半径?んんんっ!?

 慌てて祈念珠を隔離空間周辺にばらまいて即席神域を作る。そして

「アディエーナ様、お越しください」

 とりあえず原因究明のためアディエーナ様をお呼びすることに……ぅえ!?

「お姉様!お呼びでしょうか!」

「私の愛し子!母は一日も貴女の側を離れたくはありません!」

「あ、あはははは…ごめんなさい。来ちゃいました…」

 ……大宜都比売様と、伊邪那美お母さんまでセットで来ちゃった…

 …途轍もなく濃い。いや、このタイミングでこれはマズイでしょ…

 聞きたいこともあるけど、それ以上に…巽さんに電話して皆に来てもらおう。

 巽さんと課長は良いけど、部長大丈夫かな…

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