340話 6day PM3〜知らない子ですねぇ
───うん。うん。
ハンバーグもロールキャベツも無かった。
きっと食べたんだよね。
うん。平和平和。
そっかぁ…佑那にもう少し料理教えなきゃなぁ…
そんな事を思いながら飯櫃に炊き立てご飯を入れ込んでいく。
タイムさんもフィラさんも何も言わずに手伝ってくれる。
おかげですぐに入れ込む作業は終わった。
他に忘れていることは……うん。あるな。
結構ある。
石長比売様の件を崎口さんに報告するとか。
謹慎の件はどう決着させるのか考えていなかったのでその確認とか。
戦闘機がーって騒いでいた件の後の話とか。
色々放置しすぎじゃないかな!?
すぐに確認できることは良いとして、石長比売様の件については本神に再確認後、謹慎が解けてから連絡は入れよう。
なんか色々ありすぎてまだ他にも忘れている気がするんだけどなぁ…
「となると、ハンバーグよりカレーが良い?」
「ハンバーグで十分ッスよ!?」
「カレーは明日でも良いですよ?」
『ハンバーグとカレーは毎日でも良いよ!』
───暫くご飯は質素なものにしようかなぁ…
その分手間を掛けて作るよ!
大豆から作った豆腐とか。
「あ…えっとぉ…」
「そんな怖い顔しないで欲しいんですけど…」
『パパ怖い』
おっと、思考が漏れていたかなぁ?
まあ、時間も時間だし…
「少し早いけど、お夕飯にするかな」
SIDE:世界
「おお我等が神よ!偉大なる天空神よ!」
その洞窟には20人程の人間が祭壇に向かって祈りを捧げていた。
洞窟内の空気は淀み、そして何よりも腐肉の臭いが立ち籠めている。
「今こそ混沌と化したこの世界を救うため偉大なる天空神様がご降臨くださり、世に蔓延る邪神どもを滅して新たなる世界をお作りくださりますよう!お願い致します!」
『お願い致します!』
拝礼を行うこと数度。
祭壇には腐臭の原因が安置されている。
亡骸だった。
幾つもの亡骸が並べられていた。
牛と馬、猿と人、鳥と狼。
二体一対のようで対面に並べられている。
臭い。臭いのぅ…
声がした。
動揺する一同を尻目に最前にいた男が声を上げる。
「おおっ!偉大なる天空の神よ!降臨いただ───」
儂は腐った贄よりも生きた贄が好物なんじゃよ。
ガシュリ
最前で両手を挙げていた男の上半身が消失する。
不味い。不味いのぅ…こんな酒と煙草の臭いしかせぬ贄を喰ろうても腹は満たされぬなぁ…どぉれ。
ガシュッ
次列の右端に居た青年の首が消失した。
うむ。怯え、絶望…そうじゃそうじゃ。久しぶりじゃな。この洞窟に封印されて以来どれほどの年月が経ったのかは知らぬが…偽神だなんだと言っておるのならば、儂がここを出てもどうにかできる者は居らぬ可能性もあるのぅ…
気配が動く。
その場にいた全員が助かったと、アレは神なんかではなく悪魔の類だったかと思っていた矢先、
そうじゃ。食い残しはイカンのぅ
そんな声がし、そこにいた全員の体が消えた。
洞窟内に響く咀嚼音。
うむ。やはり助かったと安堵した後の絶望、良いのぅ…
カタカタと硬いナニカが触れあう音がし、やがて洞窟から大きな気配が消えた。
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