103話 送迎~兄、襲来(予定)

 食後の習練も終わったようで、三人ともグッタリとリビングに倒れていた。

[女の子がはしたないですよ?]

「ごめ…今、ちょ…」

[あー…すみません。そのまま休んでいてください。

 死屍累々とはこの事か…佑那、兄さん呼ぼうか?]

「お願い…します…」

 寝そべった状態のままそう言う佑那に最近あった(似非)お嬢様感がない。

 余程厳しい修行だったようだ。

 まあ、巽さんや課長がダウンしている時点ででしょうね。の一言だ。

 兄さんに【イモウトダウン。ヤショクモアルカラコラレタシ】と送る。

 と、

【兄者:20分後にフロアに転移する】

 と言う優しいメッセージが来た。

[兄さんは20分後にフロアまで迎えに来るらしいよ]

「了解…もうちょっとこのままで…」

[余程だなぁ…課長も大丈夫ですか?]

「───久方ぶりだよ。こんなに必死になったのは…ただ求めていた片鱗は掴めた」

[それはおめでとうございます。巽さんは?]

「…冗談はゲームか漫画だけにして欲しかったです」

[巽さん!?]

「巽は即興でゲームの必殺技らしい攻撃を受けて瞬殺されてからこの状態だ」

[瞬殺!?誰がやったんですか!?]

「祓戸様だ」

 あ、多分瞬〇殺や…せお姉様兄さんと同じ方向に進み始めているから…(震え声)

「おー…みんなダウンかぁ」

[佑那は20分後に兄さんが迎えに来ますのでそのまま帰しますよ?]

「えっ?君の兄さん来るの?じゃあ最後の練習試合に1対3出来るじゃん!」

 鬼かな?この神様。鬼神様かな?

「君も見学する?」

[結構です。兄さんとの戦い見学していたら絶対参加しろって言われますから]

「えっ?」

[運動音痴でも理合と術理を知っていれば護身くらいは出来ますよ!?]

「守られるだけの姫では無い、だと?」

[色々ダメダメなんで掴まれたりしない限りは雑魚そのものなんですけどね…]

「超接近戦専門とな!?」

[専門じゃ無いですよ!?]

「姫様がどれほど出来るのか…身をもって経験するのが私の務めかと…」

 巽さんが復活した!?

「本当にこの子は君のこと大好きだよねぇ…じゃあちょっと場所を変えようか」

 せお姉様はそう言って奥へと案内してくれた。


 ───何故か課長や佑那まで付いてきたんですけど?

「それじゃあ早速、掴まれた想定からで良いのかな?」

[はい。あ、ただ…スキル切ってもらわないと…]

「あー…ちょっと待ってね」

 せお姉様がちょっと考える素振りをし、

「ゆーくんが戦えると聞いて」

 ミツルギ姉様がログインしました。

[いやそんなに大それたモノでは無いですよ!?]

 慌てる僕にミツルギ姉様は満面の笑みで、

「絶対とんでもないんだ。君のお兄さんみたいに!君のお兄さんみたいに!」

 にいさああああああああんっっ!

「では、姫様。掴みます」

 巽さんが僕の右手を捕まえ───

[はい]

 手首を返して要点を崩す。

「…は?」

 巽さんは僕に手をつかまれた状態でへたり込んでいた。

「…おー?」

 此方のやり方は聖女系スキルありきのやり方です。人の駆動集約点…関節やツボなどの要所を強制的に脱力させてしまう技です。

「なんか、思っていたのと違う…いや、その技自体凄いけど」

[凄いと思いますよ?リラックスポイントは指定できますから、脳や内臓各部全て出来ますから]

「怖っ!?」

[普通の戦いだと…]

 巽さんが立ち上がったのを見計らい、

[こうですかね]

 片手で巽さんを投げた。


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