159話 軟禁~マンション周辺を教団信者が封鎖してきた
マンション駐車場からエントランスへ入り、ふと玄関口を見ると百名近い人間が玄関口含めその周辺を封鎖していました。
「…なんですの?これ」
「おそらく私を閉じ込めたつもりではないかと」
「えっ?」
「姫様はまだ協会に居ると思っているかと」
「…何故?」
「戦力を分断さえしてしまえば…とでも思ったのではないかと」
「祈念珠も持たせている以上、例え悪魔が来ても早々詰むことは…もしかすると、ここを先に襲う気ですの?」
「恐らくは。───あの、もの凄く怖いことを確認しても?」
「何ですの?」
「今このエントランスにいる時点でなんだか神聖な場所に居るような錯覚を」
「そう?…あぁ、そのようね。神域になっているようですわ」
と、スススッとコンシェルジュが近付き私達に一礼すると、
「お帰りなさいませ。本日14時よりこのマンション自体を少しずつ神域化するとの通達がございました」
それだけ伝えるとまたサービスカウンターへと戻っていきました。
「あら、ありがとう」
「…まさかの…契約締結後すぐですか…」
『そうだよー』
突然エントランスに声が響きました。
「!?」
突然の声に巽が警戒するのを私が手で制す。
「ゆるお姉様ですの?」
『…まさかのゆーちゃんお嬢様!?せおナイス!』
「神域設定でまずは館内アナウンスというわけですか」
『エレベーターも改造して階層転移ポータルにしたよ!』
「…流石に仕事が早いですわね」
『ゆーちゃんのおかげで色々楽になっているし、拠点の拡充は必須でしょ?』
「確かに。そうではあるのですが…」
───そうではあるのですが、ここの拡充はそこまで重要ではないかと。
『重要だからね!?1階部分を拡張して料理屋さんを複数誘致したり!』
「あら。でしたら私のお料理はもう」
『ゆーちゃんのご飯は僕らの命の源!僕らはゆーちゃんのご飯に胃袋掴まれているんだよ!?』
あら。告白にも聞こえますわね…
「神々の胃袋を掴むお嬢様…」
『外の連中は放っておいて早く上がってきてよ。選曲進んでいるから』
「えっ?選曲、ですの?」
『気合い入れてスタジオ拡張したから歌って踊れるよ!』
「…やるんですのね。しかも今から覚えて間に合いますの!?歌が限界かと思いますわよ!?」
『ダイジョブイケルイケル!』
「何故カタコトですの!?」
この姿以外は運動関連壊滅的なんですわよ!?
『それも加味して神楽っぽいものにしているから!』
「本当ですわね!?信じますわよ!?」
『どんだけ自分の運動能力に自信がないのさ…』
「駄目さ加減に自信があるのですわ!」
『「ぇえー……」』
自信満々に宣言したら巽とゆるお姉様に引かれてしまいましたわ…
「…ともかく、神域へ向かいましょう」
「そうですわね…って、本当にエレベーターのカゴ部分が無くなってますわね…」
『中に入って階数押せばすぐに着くよ!』
「SFなのかファンタジーなのか…分からないですわ」
『あと、変な人が入らないように1階エントランスドアは外部侵入を封鎖しているから!』
「…もう何でもありですわね」
『神様だもん。ある程度のことは出来るよ?』
「頼もしいお姉様ですわね」
『でしょ!?』
そんな事を話ながら私は自階のパネルを押したのですわ。
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