660話 廣瀬氏と、事務職無双
静留さんは軽くファイルを見ると大慌てで帰っていった。
「兄さん、代わりの式神は?」
「ん?ああ、もう付けてあるから問題は無い」
そう言うとミツルギ姉様の方を向く。
「貨幣問題はともすればギリギリで保たれている世界の経済バランスが崩壊する恐れがある」
流石に1ユーエルヴェが400円とかだと問題起きるよねぇ…
「その件で提案があります」
廣瀬氏…廣瀬さんが右手を軽く挙げた。
全員が廣瀬さんをみる。
「何かアイディアが?」
「神国内流通のみに使えば良いのです。国民以外は入出国時に換金すれば問題ありません。そして電子マネーとリアルマネーはレートに差を付ければ通常であれば安い方を使用するかと」
「「その手があったか!」」
紅葉さんと佑那が同時に声を上げた。
「でも、そのレートは?」
僕の問いに廣瀬さんは事もなげに答える。
「それはこちらが適当に決めれば良いかと。週、もしくは月で友好国等に関しては安く設定する等ですが。
相手の国籍と換金貨幣がアンマッチだった場合は確認と手数料が掛かるという仕様や、偽金対策等に関しては神様方の力や超テクノロジーで対応可能かと思いますのでその辺りはお任せ致します」
『………』
兄さん以外の全員が呆然と廣瀬さんを見る。
「これって、貨幣問題まるごと解決?」
佑那の呟きに僕は「そだね」としか答えられなかった。
「観光等を目的としないようでしたので実質鎖国という前提ですが」
「じゃあ、紙幣とかも拘らなくても…」
「結界云々は織り込まずとも良いかと。ただ、技術力は見せつけておいた方が良いので…3Dホログラム以上の加工を紙幣にすると言うのは如何でしょうか」
あー…それの方が紙幣以外の使われ方しなくて良いよねぇ…
「硬貨の場合は?」
「外に出さない事前提であればそこまでは特殊処理は必要ないかと」
そこまでは、ね。
一応持ち出しや偽金対策としての処理は必要って事なんだろうなぁ。
「硬貨に関してはその紙幣に使っている程度の聖水晶粉末を金属に練り込んでまとめて作れば良いだろ」
兄さんの台詞に首をかしげる。
「でもそれって…ああ!そう言う事か!」
神国内であれば神気や聖気に満ちているから何も問題は無いと。
「でも持ち出したい方々はどうするの?」
「外では使えないように加工した貨幣セットを渡すか、制限を掛けるなどすれば良いだろ」
持ちだし制限かぁ…ああ、結界などの機能無くしたら重要度が下がる訳か。
「しかし最初はかなり持ち出される可能性はある」
「えっ?」
「肖像画に関しては友紀は入れずトップ2人と神々であれば良いだろうな。あとは動植物や建造物の絵を入れてオリジナリティと芸術を出さなければならない。
さて、技術と芸術性が詰まった新しい国の紙幣。各国確認するだろうな」
「あー…」
「そもそも神国に呼ぶのかどうかからスタートだろうな」
「その辺りはラヴィ姉さん達あちらの国の方々が考える事だから」
「そこでコイツだ」
「えっ?」
「暫く彼女を貸し出す。面倒かつ時間の掛かるような事務を投げてやれば大はしゃぎして仕事を始めるだろう」
「はい!全身全霊掛けて業務にあたります!」
あっ、この人重度の仕事中毒者なのか…
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