41話 TS化した僕の新勤務態勢が決まる

「中務省関連の会議は終わりだが、次の会議だ」

 端末の電源を落とした課長がそう言ってやはり木の隣に座る。

[えっ?まだあるんですか!?]

「あの程度で会議とは言わんだろ」

 億単位の話があの程度って…

「お前さんと巽の勤務形態についての会議だぞ」

[巽さんもですか?]

 巽さんを見ると何故かドヤ顔で頷かれた。

「護衛が要るだろうが。今朝の状況から徒歩は危険だと理解していないな?」

[唐突に理解しました!]

 アレ凄く怖かったもん!

「私が毎朝待つのも限界があるからな」

[課長いつ休んでいるんですか…巽さんもですけど]

「私は姫の側にいられれば問題ありませんから」

 キリッとした顔でそんな事を言われたら…ねぇ?

 そんな事言ったら神域の営業を手伝ってもらうよ?

 だって人手不足な挙げ句、神様相手に押し負けない精神力が必要だし。

「………何故か嫌な予感がするのですが」

[昨日、伊邪那美様が来たよ]

「「……えっ?」」

 うわ、二人揃って眼のハイライト消えているんですけど!?

「いや、無理だろ。相対するのも」

「姫が無事なのが奇跡です…」

 うわっ、伊邪那美お母さんマイナスイメージ、酷すぎ…

「本当に、本当に大丈夫なのか?」

 課長にしては珍しく顔面蒼白で聞いてきた。

[大丈夫ですよ?今朝も一緒に食事しましたし]

「…いや、それ姫以外無理案件ですよね!?」

 えー?

「神が増えた時点で色々大変だろう?」

[買い物とかが少し大変だと思っていたんですけどね…プライベートバッグを追加してもらったのでかなり楽になったかと]

「…もう、何でもありだな」

 僕の台詞にうわぁ…という顔とともに胃の辺りを押さえた。

[課長、胃が痛いんですか?回復させますか?]

「膝枕セットで頼む…」

[了解です]

「姫!私も!」

 これで僕の一日終わらない?



「───話を戻すが、勤務形態を変更させる」

 膝枕となでなでセットの慈母の献身である程度回復した課長がちょっと顔を赤らめながら会議を再開させた。

[巽さんとあわせるって事だけではないんですね?]

「ああ。週1日はフル勤務だが、それ以外は午前のみで午後からは基本外交官として神々の応対等をして欲しい」

[僕としてはありがたいのですが…]

「これは省庁などからの要望に対しての折衷案だ」

[折衷案…ですか?]

「ああ。あちらさんはここの仕事を辞めさせて神々のご機嫌取りに集中させろと言ってきた」

 うわぁ……あの恐怖のアナウンスがトラウマになったんだろうなぁ…

 疲れた表情の課長にさっき膝枕しながら回復したにもかかわらず、思い出して胃を痛めたようだ。

「流石にそれは岩崎の精神衛生上宜しくないと私が保留にした。どうする?それでも構わないのであれば退職手続きをしなければならないのだが…」

 少し不安そうに僕を見る課長がちょっと可愛い。

 協会に関しては色々思うことはあるけど、この部署は好きなんだよなぁ。

[嫌ですよ。僕はこの部署が好きなんですから]

「岩崎…」

 目を潤ませた課長が僕に抱きつk───

「姫にこれ以上近付かないでください」

 隣にいた巽さんが素早くブロックしてきた。

「抱きつくくらい良いじゃないか!」

「話を進めてください」

 巽さんの目がめっちゃ据わっている。

「………一応、これが先程言った時間形態変更の契約書だ」

 渡された契約書をよく読む。

[うん。特に問題なし…って、お給料が凄い上がってませんか!?]

「それは上がるだろ」

「課長、私の契約書は?」

「ほら」

「私の扱い雑では!?」

 二人とも、仲いいなぁ……


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