40話 TS化した僕は(神々の)活動資金を得る

 と言うわけでやってきました会議室。

 入館で課長権限で入れてくれるまで入れなかったことはネニモッテナイヨホントダヨ?

 ───気を取り直して。

 会議室には課長と巽さん、そして僕の3人だけで、会議なのに横並びで座っている。

 そして目の前には巨大なモニターがあり、WEBカメラがある。

[三人で会議って…]

「ああ。ここに居る三人で会議だぞ?」

「決定事項はリアルタイムで中務省から上に上げられるという事ですか」

「まあそんなところだ」

[なんか怖いことに!?]

「まあ、神々に目をつけられているんだから諦めろ」

 諦めると言うよりも受け入れるが正しいと思いますが…

『さて、時刻は9時となりました。それでは会議の方始めて戴きます』

 モニターの向こう、あちらも会議室らしき所で二人の男女が座っている。

 男性は何も言わずにノートに書き込んでおり、女性はノートPCを高速タイプしている。

 できる人って凄いなぁ…何しているか分からないけど!

「では、一つ目は神々より資金造成のためにと渡された三品についての中務省からの見解を聞きたい。巽」

 チラリと課長が巽さんを見ると巽さんは小さく頷き、自身の持っているタブレットに目を落とす。

「昨夜岩崎様より神々から資金造成のために神性上級回復薬濃縮5倍200ml、神性上級快癒薬濃縮5倍200ml、金板四枚を渡されたとの連絡を受け中務省ダンジョン対策本部へと輸送し、再度専門鑑定士に鑑定を依頼しましたところ、神性上級回復薬に関しては通常回復薬100mlに10ml追加することで上級回復薬と鑑定結果が出るため、何を以て5倍希釈なのかと頭を抱えていました」

 ?視界の端に…メッセージ?

【水道水とかで薄めたらOKだよ】

 ………いつの間にこんな機能追加したんですか!

[あの、発言宜しいでしょうか]

「岩崎?」

[今、祓戸様よりメッセージがありまして、水道水とかで薄めて問題無いそうです]

「「水道水………」」

 あ、二人とも愕然とした顔してる。

 モニターの向こうの二人も動きを止めてこっちを愕然とした顔で見てる。

 僕のせいじゃないよ!?せお姉様がそう言ったんだもん!

 ああっ、なんか画面の外にいる人に慌てて指示出してる!

「…続けます。神性上級快癒薬に関しては報告されていない代物で、何に対して希釈をすれば良いのか分かっていませんでしたが…」

 またメッセージが届いた。

【通常回復薬で希釈したら急速快癒薬になって便利だよ】

 ワンポイントアドバイス感覚で爆弾を後から入れないでくださいませんか!?

「何か、メッセージがあったのか?」

 僕の様子がおかしいのを見た課長がまさかと言った顔でこちらを見る。

[はい。通常回復薬で希釈したら急速快癒薬になって便利だよ、とワンポイントアドバイスをいただきました]

 …モニターの向こうの人含め全員目を瞑った状態で上を見上げ「あー…」と呻いた。

 試行錯誤するには数量が足りず、ほぼノーヒントから軽いノリでドカドカ爆弾を落とされればチベットスナギツネ顔になるのも頷ける。

 そうならないためにも堪えてるんだろうなぁ…

「…続けます」

 数十秒の沈黙の後、巽さんが絞り出すように声を出した。

「金板に至っては神気を纏っておりそれ以上の鑑定を行うことはできませんでした」

 一番のダークホースが金板だった説出た?

【えっ?普通に売って良い物だよ?でも神気が染み込んでるから溶かせば退魔効果は期待できるかな】

 ───それをそのまま言ったから、みんなからガチチベスナ顔で見られた。

 こっち見んな。



「───これら三アイテムはすべて研究用に一括買い上げが決定しておりますが、宜しかったのでしょうか」

 買い取ってもらえるなら問題無いです。もう既に実験始められているみたいですし。

「…まあ、そうですよね。それで価格の方ですが、正直緊急で予算の追加は難しいとのことで、一部買い上げとの話になっています」

『済みません。その件でこちらから一つ』

 モニターの向こうにいる女性が声を掛けてきた。

「何か?」

『現在緊急補正予算を計上し、成立予定ですので成立後速やかにお支払いさせて戴きます』

「それはどれほどの金額でしょうか」

『今後同じ規模の買取が何度かあると考え、7億ほど計上させていただきました』

「足りると?」

『今回の買取金額を基礎金額として状況に応じて第二次補正予算を計上致します』

[…なるほど。ただ、そんな高い金額なのでしょうか]

『岩崎様。今回の通称濃縮ポーション2種をあわせて一億三千万円で。金板に関しては───』

話の途中で職員さんが女性にメモ用紙を見せた。

『再度宜しいでしょうか』

[はい。なんでしょうか]

『先程の使用用途が確認できましたので、神性上級回復薬を四千万円、神性上級快癒薬を一億円の合計一億四千万円。金板に関しましては合計で4千万円とさせて戴きたいのですが』

[あ、はい。問題ありません]

 むしろ多すぎませんかね?

『では決定という事で、至急予算を成立要求致します』

[あ、はい]

「買取に関しての話はこれで終了でしょうか」

『はい。ありがとうございました』

「ではこれで会議を終了する」

 課長はそう言って通信を終えた。

 ───えっ?これだけ?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る