543話 空間操作と空間隔離

 会議室に作られた転移室はマジックミラーの衝立で囲まれた小部屋だった。

 パネル3枚で作られた小部屋。

 そりゃあ朝作ってすぐ終わりますよね。

 きっとマジックミラーを取り寄せたりする方が時間が掛かっているに違いない。

「ありがとうございます。今日からこれで通勤します!」

「これで通勤て」

 苦笑する課長には申し訳ないけど、僕は結構ウッキウキです。

 空間を弄って、あ、やっぱりそのまま配置できるようになってる。これなら…

『空間操作』そして『此処ヲ遊戯場トス』

 空間が隔離され、スキルによって中が神域となった。

「───よし。これで最悪ここに数名は逃げ込めるしここから部隊を派遣することが出来る」

「ちょっと待て!今サラッととんでもない事したよな!?」

「失礼します!お呼びにより白城隊所属、重装救命官着任致しました!」

 メンズの長袖診察衣を着た身長180センチくらいの男装の麗人がその神域から姿を現した。


「僕の事を聞かれても「自分にはそれを話す権限は無い」とでも言って拒否してください」

「分かりました!」

「おいおい…まあ、良いか」

 課長がツッコミを入れようとしたけど、諦めた。

「あと、協会職員の人とはできるだけ仲良くするように。敵対者には殺さない程度で…妖魔やそれに類する者に対しては容赦しなくて良いけど、確認だけはしてね」

「九尾狐と怪猫等友好的な妖魔のと邪霊悪鬼の類では気配が違いますので問題ありません!」

 そっかぁ…ええっと、あとは…

「藤岡課長は僕の上司で、巽さんは僕の同僚で教育係だからくれぐれも無礼な真似はしないでね?」

「はっ!」

「という訳なので課長、僕は戻りますね」

「ああ。お疲れさん」

 というわけで僕は転送室から箱庭へとゲートを開いて跳んだ。



「ただいまです!」

「あ!ちょうど良かった!土地の浄化と最適化をお願いしたいんだけど!」

 箱庭経由でマンション神域に戻って来た僕にゆる姉様が突撃してきた。

「一時退避は完了しているんですか?」

「うん。とりあえず今日は全員退避して貰ったから大丈夫!」

「わかりました。どうしようかなぁ…」

 箱庭の川の水や湖の水を掛けるのも考えたけど、アレって実は総量が決まっています!とかだったら怖いから使いすぎ注意だから大切に使わないと…あ、でもここの水をあちらに持っていって混ぜて使ったら…良い具合に濃度が整う?

 お財布お財布…14万円かぁ…買えるかな?

「タイムさん、フィラさんちょっとお願いしたいことが…」

「「はい?」」

 2人揃って首をかしげながら現れた。

「1000リットルの水タンクを買ってきて欲しいんだけど…」

「どこで売っているんスか?」

「多分ホームセンターとか、農業関連器具を売っている所?」

「誰が使うの?」

「僕」

「「………」」

 タイムさんとフィラさんは顔を見合わせる。

「いつものように空間操作で箱作ってしまえば良いんじゃないッスか?」

「!?」

 その、発想は…なかった…マズイ。僕、無駄遣い大好きな工夫の足りない子になってる!?

「2人ともありがとう!本気で忘れてた!」

「「えー?さっき使ってたのに…」」

 本当にね!?


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